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人手不足の解消は「外国人労働者」で すでに全国で70万人突破、外食、コンビニなどが争奪戦

   外国人労働者が、外食業や小売業などで深刻化している人手不足の「救世主」ともいえる存在になりつつある。

   厚生労働省によると、外国人労働者数は71万7504人(2013年10月末時点)で、前年同期と比べて3万5054人、5.1%増加して過去最高を記録した。この労働力をめぐって、すでに熾烈な「争奪戦」が繰り広げられているようなのだ。

店舗運営、「外国人抜きには考えられない」

ローソンは外国人労働者の採用に積極的だ!(画像はローソンのホームページ)
ローソンは外国人労働者の採用に積極的だ!(画像はローソンのホームページ)

   最近、東京都心のコンビニエンスストアでは、カタコトの日本語を話す店員が少なくない。店員のうち、半数が外国人アルバイトということもあるようだ。コンビニだけではない。ファストフード店やファミリーレストラン、居酒屋などでも外国人アルバイトを見かける。

   2014年8月4日付の日経MJは、「カタコト労働力 争奪戦」の見出しで、人手不足に悩む流通・外食チェーンの外国人労働者の採用状況をまとめている。

   たとえば、東京・お台場のフードコートの飲食店。その厨房で働くのは中国人、バングラデシュ人、ネパール人だ。日本人のアルバイトを雇いたくても、場所柄、近所に住んでいる日本人が少なく、大学もない。「多国籍化は必然だった」という。

   多くの外食業や小売業などが人手不足に悩まされているなか、コンビニ大手などでも「人材確保」に動き出している。同紙は「日本語を習熟し切れていない外国人すら奪い合う採用現場。チェーン経営での外国人はもはや助っ人ではない」と報じている。

   外食業や小売業の外国人の採用状況は、従業員に占める外国人比率で、まだ1ケタの企業が多いが、なかには10%を超える企業も出てきた。外国人のアルバイトが人手不足を補っていて、「外国人抜き(の店舗運営)など考えられない」という飲食店もある。

   すでに東京のごく日常の光景として、中国やフィリピン、ベトナムなどの外国人アルバイトが接客したりレジを打ったり、料理をつくったり運んだりしている。そのことに違和感がなくなってきた人も多いのではないか。

ローソン「日本語、文化を理解してもらえれば、長く勤めてもらえる」

   コンビニ大手のローソンは、外国人労働者の採用を「強化する」という。「店舗の海外進出やダイバーシティ(多様化)の観点から、外国人の採用を強化したいと考えています。すでに採用している外国人の方からもよい相乗効果がみられます」と説明する。

   本社のみならず、個々の店舗でも外国人アルバイトの採用を進める考えだ。「ローソンスタッフ」が個々の店舗で採用した外国人の日本語教育などを支援する。また、ベトナムとは留学生を送り出す機関との連携も検討する。

   「人手不足のなかで、日本人だけで店舗運営が回っていくとは限りません。一方で、意識の高い外国人は少なくありませんから、日本の言葉や文化をきちんと理解してもらうことで長く働いてもらえると考えています」と話す。

   一方、牛丼チェーンの吉野家を展開する吉野家ホールディングスは、外国人労働者の採用について「自然体」という。吉野家では現在、全従業員に占める外国人労働者の割合は5.5%。「積極的に増やしていこうとも、減らすなどということもありません」と話す。

   外国人アルバイトの採用は、各店の店長が判断するが、「言葉について接客できる能力があれば、日本人の採用とかわりなく採用します」としている。

   厚生労働省によると、外国人労働者を雇用する事業所数は2013年10月末時点で12万6729か所。前年同期に比べて6998か所、5.8%の増え、2007年に届出が義務化されて以来、過去最高となった。

   これを産業別の雇用者数でみると、最も多いのは製造業。26万2544人で、全体の36.6%を占める。次いで、宿泊・飲食サービス業の8万2237人(11.5%)、卸売・小売業の7万9677人(11.1%)となっている。