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新宿区の電柱に日本人慰安婦募集ビラ 韓国への抗議の意思表示なのか

   東京都新宿区にある東京韓国学校のはす向かいの電柱に、終戦後の日本人慰安婦募集広告を模したビラが貼られていたことが分かった。韓国へ向けて抗議の意思表示をした可能性があるが、何の目的かはまだはっきりしていない。

「急告 特別女子従業員 衣食住及び高級支給」

   電柱のビラには、このような広告文がマジックで手書きしたように書かれていた。ビラは、縦約20センチ、横約10センチの紙だった。

人権問題は日本人でも同じと言いたかった?

韓国学校前に貼られていたビラ
韓国学校前に貼られていたビラ

   文面は、終戦直後に、日本政府が米軍兵士らのために慰安所を作り、そこで働く女性を募集していたときの広告のものだ。

   18~25歳の女性を募っており、採用されれば、東京・銀座に設立された「特殊慰安施設協会」の従業員となる。広告では、「前借ニモ応ズ 地方ヨリノ応募者ニハ旅費ヲ支給ス」とうたってあった。末尾には、当時の警視総監の名前が記され、用事の方のために、警察署の名前も付記されていた。

   慰安所について触れた新聞報道によると、占領下にあって日本の一般女性や子供たちを守る「防波堤」として国策で作られていたという。東京・大森海岸に作られた最初の慰安所は、1600人もの慰安婦が公募され、多くの米兵らが利用していた。しかし、性病が蔓延したため、半年ほどで閉鎖したとされている。

   今回見つかったビラを目撃した人によると、2014年8月6日ごろには、電柱に貼ってあったという。ビラは、この1か所だけしか見ていないと話している。

   日韓両国間の慰安婦問題を反映し、日本のネット上では最近、韓国などへの不満の声が高まっている。「韓国、朝鮮人だけどうして特別なのか」「まずは日本人慰安婦の事を出せ!」といったもので、人権問題というなら日本人も韓国人も同じことではないかと批判が相次いでいる。電柱に貼られたビラは、何者によるかは不明だが、こうした考えに基づく抗議の意思表示である可能性もありそうだ。

新宿区「ビラなどの話は聞いていません」

   東京韓国学校は、小学校に当たる初等部と中高校に当たる中高等部があり、報道によると、児童・生徒ら約1200人が通っている。最近は、在日韓国人よりも、韓国のビジネスマンの子供たちの方が多いという。

   韓国学校は首都圏に1校しかないため手狭になっているといい、韓国のパク・クネ大統領が、舛添要一東京都知事と2014年7月25日に行った会談で新設の支援を要請したほどだ。東京韓国学校の分校として16年の開校を目指しているというが、前出のビラが韓国学校前に貼られたのは、こうした動きを意識したことも考えられなくはない。とはいえ、まだよく分からない状態だ。

   東京韓国学校にビラのことで取材しようとしたが、韓国の祝日に当たる独立記念日の8月15日だったためか、電話をかけても誰も出なかった。在日本大韓民国民団の中央本部に取材すると、防災センターの職員が出て、韓国の祝日で休みのため誰もおらず、何も分からないとのことだった。

   韓国学校のある新宿区の総務課では、取材に対し、人権担当者が「ビラなどの話は聞いていません」と答えた。ただ、コリアタウンのある新大久保では、韓国人らを差別する落書きが見つかって、家主などに落書きを消すお願いをすることはあったとしている。