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朝日新聞、今度は過去のインタビュー「でっちあげ」が発覚 任天堂社長の発言、ネット動画から「編集」

   「吉田調書」について謝罪したばかりの朝日新聞が2014年9月14日、またもや謝罪記事を掲載した。今回はインターネット動画での発言を「インタビュー」と偽って報道したという。

    発言をでっちあげられたゲーム大手・任天堂から指摘があり、すでに謝罪しているというが、記事掲載から2年間も読者へ説明がなかったことに批判が出ている。

「了解を得られた」思い込んで記事化

紙面で謝罪(画像は「朝日新聞」14日付朝刊)
紙面で謝罪(画像は「朝日新聞」14日付朝刊)

   今回謝罪したのは、12年6月8日朝刊の経済面に掲載された「ソーシャル時代、どう対応?/ゲーム大手4社に聞く」。アメリカ・ロサンゼルスで毎年行われている世界最大のゲーム見本市「Electronic Entertainment Expo(通称E3)」にあわせて、家庭用ゲーム各社にソーシャルへの対応を問う記事だ。

    記事では「各社の責任者に話を聞いた」として、任天堂の岩田聡社長、マイクロソフトの泉水敬執行役、ソニー・コンピュータエンタテインメントのアンドリュー・ハウス社長と、ソーシャルを代表してグリーの吉田大成執行役員(当時)へのインタビューが掲載されている。

   謝罪記事によると、泉水氏、ハウス氏、吉田氏にはインタビューを実施。岩田氏については取材承諾を得られず、任天堂に「動画の発言内容をまとめて記事にしたい」と伝えたことで「了解を得られたと思い込み、記事にしました」としている。

   朝日が使った動画は、12年6月4日にインターネットで生放送された「ニンテンドーダイレクト Pre E3 2012」と思われる。E3でのプレゼンテーションを控え、岩田氏自らが家庭用ゲーム機「Wii U」の魅力を説明する内容だ。ここでの岩田氏発言を書き起こしてみると、朝日の記事は動画の「要約」で構成されているとわかる。ニンテンドーダイレクトでの岩田氏発言はこうだ。

「『同じ部屋に一緒にいるのにみんながそれぞれ別のことをしている』というのは、現代人にとって珍しいことではなくなりました。アメリカの大学教授のひとりは、こういった状態を『アローン・トゥギャザー』と名付けたそうです。このような状況を生み出したのは、私たちの携帯ゲーム機でもありますし、スマートフォンやタブレットでもあります。技術の進歩は間違いなく、いろいろなことを便利で快適にしてくれましたが、同じ部屋にいるのにお互いに対してよりも、それぞれの装置と接触していることの方がどんどん多くなってしまう。という状態が、私たちの未来の人間関係にとってよいわけがありません

   これに対し、朝日新聞の記事は、次のようになっていた。

現代人は、同じ部屋に一緒にいるのにみんなが別のことをしていることが珍しくない。そうさせたのは、私たちの携帯ゲーム機であり、スマートフォンやタブレット端末でもある。そのような状態は、未来の人間関係にとってよいわけがない

謝罪直前、文春がスクープ

   掲載から2年が経過した今、どうして突然の謝罪に至ったのか。朝日は「今回新たに外部から指摘があり、事実関係を改めて調査した結果、紙面でおわびする必要があると判断しました」としている。

   実は謝罪記事が出る数時間前、週刊文春がWEBオリジナル記事として「朝日新聞に新たな不祥事 任天堂・岩田聡社長インタビューを捏造していた!」と報じていた。文春記事によると、任天堂広報室は「(当時)岩田聡は日本のマスコミの記者様の取材はお受けしておりません」と回答。朝日新聞広報部も前述の謝罪文と同様の回答を行っている。この記事が出ると分かったため、出たタイミングで謝罪したと思われる。

   このところ朝日新聞は、「吉田証言」の誤報問題に端を発し、池上彰氏のコラム掲載拒否、木村伊量(ただかず)社長が謝罪会見した「吉田調書」問題など、立て続けにトラブルが続いている。ツイッターでも、作家の東浩紀さんが「また謝ってるんだ。。。」、古谷経衡さんが「二年前の記事。吉田調書しかり、追い込まれて公表というパターンこそが問題」とつぶやくように、後手後手の対応に冷たい視線が集まる。また朝日の記者からもツイッターで「恥ずかしく、情けなく、怒りのわいてくるはなしで、読者の方々にただただ申し訳ないです」といった呆れ声が出ている。