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「タニタ食堂」が国境越えた 中国・瀋陽に海外1号店

   健康機器メーカー「タニタ」は2014年9月22日、中国に「タニタ食堂」をオープンさせた。

   肥満が社会問題化するなど健康への意識が高まっている中国で、タニタ食堂の低カロリーメニューは受け入れられるだろうか。

多店舗展開へとつなげる考え

中国でも行列ができるのか(写真は「丸の内タニタ食堂」。12年1月撮影)
中国でも行列ができるのか(写真は「丸の内タニタ食堂」。12年1月撮影)

   タニタの社員食堂がメディアに登場して話題となり、レシピ本がヒットするなどしたのを受けて2012年1月に東京にオープンした「丸の内タニタ食堂」。ランチ時にはサラリーマンや主婦らが行列を作るほどの人気を誇っており、今では病院内にもオープンするなど複数の店舗を展開しているが、海外出店は今回の中国が初となる。

   海外1号店がオープンしたのは、中国・瀋陽のITソリューション・サービスプロバイダーの「Neusoftコーポレーション」の本社。席数120の社員食堂として、日本とほぼ同じレシピで500キロカロリー前後の5種類の定食を日替わりで提供している。1食18元(約314円)で、「これからレパートリーを増やしていく予定」(タニタ)だという。

   内装も丸の内タニタ食堂のデザインを踏襲しているが、カフェコーナーを設けるなど独自のアレンジも加えられた。

   体組成計を設置し専門家が計測結果を基に社員に健康アドバイスを行うカウンセリングルームもある。タニタは「日本で得た健康食のノウハウを中国の皆さんの健康に役立てたい」(谷田千里社長)としており、ここの社員の健康改善で実績を積み、中国での多店舗展開へとつなげる考えだ。

健康管理サービスを展開する「XIKANG」と包括的業務提携

   今回のタニタの食堂事業の中国進出は、Neusoftコーポレーションの子会社で健康管理サービスを展開する「XIKANG」と包括的業務提携を締結したことで実現した。今後、両社は中国の医療・健康関連などヘルスケア市場に進出する予定で、食堂オープンは協業第1弾というわけだ。

   中国といえば油を多用した料理で知られ、タニタ食堂の低カロリーで淡泊な味付けが好まれるかは不透明ではある。とはいえ、急速な経済成長に伴い、中国でも肥満が社会問題化している。ハンバーガーなどのファストフードや炭酸飲料の消費量も急伸し、近年では大人だけでなく子供の肥満も深刻化。肥満と密接に関係する糖尿病人口に至っては世界一ともされており、「中国でも生活習慣病が脅威であり、国民も予防に関心を高めている」(XIKANG)だけにタニタ食堂が受け入れられる可能性は十分にあるだろう。

   中国のヘルスケア市場は有望な成長市場であり、タニタの食堂オープンは中国進出の布石に過ぎない。一筋縄ではいかない中国での事業展開に向け、XIKANGと組むことで参入ハードルを低くし、これから健康計測機器の販売、健康管理サービスなど"本丸"の進出を目指していくことになる。