J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

日本のCO2排出量、13年度は過去最高 世界的にも増加が止まらない

   2013年度のエネルギー消費による二酸化炭素(CO2)の排出量が前年度と比べて増加し、過去最高となった。

   地球温暖化の「原因」とされるCO2排出量の削減は世界共通の課題だが、日本は世界全体のCO2排出量の約3.7%を排出(2011年)。国別では、中国、米国、インド、ロシアに次いで5番目に多い。

CO2排出量、前年度比1.4%増の12億2400万トン!

日本のCO2が減らない!(画像はイメージ)
日本のCO2が減らない!(画像はイメージ)

   経済産業省のエネルギー需給実績(2013年度、速報)によると、13年度のエネルギー消費による二酸化炭素(CO2)の排出量は12億2400万トンで、前年度と比べて1.4%増加した。2014年11月14日に発表した。東日本大震災前の2010年度と比べると、12年度は8500万トンの増加だったが、13年度はさらに1600万トン増えて1億100万トンの増加となった。

   エネルギー消費によるCO2排出量はリーマン・ショック前の2007年度がピークで、12億1800万トン。それが09年には10億7500万トンまで減ってきたが、その後再び増加し、とうとう過去最高を更新してしまった。

   増加の原因は、景気回復による経済活動の活発化と、化石燃料の消費量の増加がある。東京電力福島第1原子力発電所の事故で、現在もなお全国の原発は稼働を停止している。原発に代わる火力発電用として、石炭や天然ガス(LNG)の利用が拡大。たとえば、石炭の消費量は1%増加した。こうしたことがCO2排出量の増加に影響している。

   CO2排出量は10年度と比べて9%も増えたことになる。ただ、エネルギーの消費量は原発事故後の「省エネ」の浸透で、10年度と比べて5%減った。

   インターネットでは、

「CO2削減ねぇ... なんだか最近はかけ声もなくなっちゃったんじゃない?」
「省エネ意識の向上で消費量が減ったことは素晴らしい。とはいえ、原発の代替えを、真剣に考えていかないといけない」
「CO2排出量が増えているからといって、原発の再稼動容認に話をすり替えることは、政府としてあってはならない!」
「環境保護より、景気回復が優先ってことでしょ」

といった声が寄せられている。

CO2排出量規制、12月に新たな「ルールづくり」はじまる

   じつは、CO2排出量は世界的にも増え続けている。CO2排出量の削減に取り組む研究機関によるグローバル・カーボン・プロジェクトのレポートによると、2014年の世界の二酸化炭素(CO2)排出量は、前年比2.5%増の370億トンとなり、過去最高を更新する見通しという。

   その背景は中国の排出量の増加で、中国のCO2排出量は2014年に4.5%増の104億トンに達すると予想している。米国は0.9%減の52億トン、欧州連合(EU)は1.1%減の34億トンとなる見通し。また、2019年には世界のCO2排出量は432億トンに増加し、そのうち、中国の排出量が127億トンに達すると予測している。

   これまで、中国と米国はCO2排出量の規制に消極的だった。ところが、中国の習近平国家主席とオバマ米大統領はCO2削減について、2014年11月12日の北京での会談でそろって前向きな姿勢を打ち出した。

   世界がはじめて導入した温暖化ガス(CO2)排出量規制で、CO2排出量に国別の上限を設定した「京都議定書」(1997年制定)は、そんな中国や米国が従わなかったことなどから骨抜きとなり、2013年以降は原発事故を理由に日本も削減目標の割り当てを拒んでいた。

   CO2削減に向けた新たなルールづくりは、12月にペルーのリマで開かれる第20回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP20)で交渉がはじまる。