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自民大勝なら「株価2万円台」の現実味... アベノミクスは4年間続く? 早くも「ご祝儀」予想

   衆議院の解散・総選挙が確実視されるなか、大和証券は自民党が現状よりも多い300議席を獲得した場合、東京株式市場の日経平均株価が2万円の大台に回復すると予測した。

   なにやら、にわかに景気のよい話が飛び出したが、ホントだろうか――。

15年春にかけて「株価2万円相場」も期待できる!

自民大勝なら、株価「2万円台」が見えてくる?
自民大勝なら、株価「2万円台」が見えてくる?

   「待望の2万円相場」がみえてきた。大和証券は衆院選後の株式相場を分析したレポートを11月17日に発表。レポートはチーフストラテジストの三宅一弘氏によるもので、自民党が300議席以上を獲得して大勝した場合、2015年3月末に「2万1230円」まで急騰すると予測した。日本株の長期上昇相場に「弾みがつく」としている。

   衆院選の結果で、自民党が現状程度の議席(280~299)を維持した場合は、2014年12月末に1万9090円まで上昇。その後の15年3月末には1万9600円まで上がり、15年12月末には2万1370円まで上昇すると予測している。

   日本銀行による追加の金融緩和と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の株式の運用比率の引き上げを材料に、日経平均株価は上昇基調にあり、2014年11月14日には1万7520円54銭と年初来高値を付けた。

   週明けの17日には7~9月期の国民総生産(GDP)が1.6%のマイナス成長になったことで「冷や水」を浴びせられて、終値は1万7000円を割ったものの、翌18日は終値で再び370円26銭も上昇して1万7344円06銭まで回復した。これらの材料に衆院の解散・総選挙、消費税率の再引き上げの先送りが加われば、衆院選で自民党が大勝しなくても株式相場の上昇基調は顕著になるとみている。

   ちなみに大和証券は、消費税率の再引き上げの実施、解散・総選挙がない場合でも、14年12月末に1万7430円、15年3月末が1万7810円、15年12月末には1万9480円になると予測している。

   第一生命経済研究所経済調査部のエコノミスト、藤代宏一氏も、「年末までに1万9000円。来春には2万円」を予測する。株価「2万円台」を見込んでいるエコノミストらは少なくない。

   こうした予測にインターネットでは、

「同意、自民党が勝って長期安定政権になったら2万円まではいく。来年はまた景気がよくなる」

と好意的な一方で、

「さすがにどんぶりすぎでしょwww」
「ご祝儀相場ってこと? 上がるのは同意だけど、そこまでいくかな~」
「スゲ~ポジショントークだな」

と、懐疑的な声もある。

「郵政解散」「死んだふり解散」選挙後に株価上昇!

   自身もデイトレーダーで、投資教育会社を運営する金子好之氏も慎重だ。「株価が上げ基調にあることは確かですが、2万円はどうでしょうか。GDPがマイナスなのに、株価が2万円台というのは考えにくいですね」と話し、「1万8000円台がいいところ」とみている。

   株価「2万円」を予測する背景には、過去の経験則がある。ロイター通信(11月10日付)は11月10日付の「クロスマーケットアイ」で、今回の衆院選が「政界で消費再増税への意見が二分する現状は、郵政民営化が争点となった2005年8月の『郵政解散』時に似ている」と指摘。「当時のように自民大勝なら経済政策を一段と進めやすくなり、株高が進行するとの期待も出ている」としている。

   郵政解散時は自民圧勝を好感し、日本株は急上昇。日経平均株価 は1万1778円(2005年8月8日)から1万7563円(06年4月7日)まで5784円も上昇した。

   東京東海調査センター投資調査部の隅谷俊夫氏は11月14日に公開した「マーケットストラテジー」で、小泉内閣時の「郵政解散」と1986年6月の中曽根内閣時の「死んだふり解散」を引き合いに、自民大勝で株価が上昇したケースを示した。

   隅谷氏は「消費増税の先送り報道を好感して株価が上昇しましたが、その本質は総選挙で自民党が勝つことにあります」と話す。衆院選に勝てば、安倍政権が安定して4年にわたりアベノミクスが持続し、その間の株価上昇が期待できるとしている。

   ちなみに、自民党は現在295議席。公明党が31議席の合計326議席と3分の2以上の圧倒的多数を占めている。今回の衆院選は、「自民党が強いわけではなく、野党が自民党以上に弱く、そのために自民党が圧勝する」との見方もまた少なくない。