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「自民候補引きずり落とせそうな野党候補」紹介サイト 仕掛け人はあの反原発参議院議員だった

   第47回衆議院選挙が2014年12月2日に公示され、12日間にわたる選挙戦の火ぶたが切って落とされた。そうした中、「自民候補を引きずり落とす可能性がある野党候補」を紹介するサイトが突如出現した。

   「さよなら安倍政権 自民党議員100人落選キャンペーン」と題したもので、3日18時時点で7300件以上の「いいね!」が付くなど、さっそく注目を集めている。

「安倍総理はお疲れです。退陣して戴きましょう」

「さよなら安倍政権」のトップページ
「さよなら安倍政権」のトップページ

   サイトトップを開くとコミカルなフォントで書かれた「さよなら安倍政権」が目に飛び込んでくる。その横には、なぜかギャグタッチに描かれた金髪女性のイラスト。周りにはバラがちりばめられ、背景には雪の結晶が美しいきらびやかな画像が使われている。どうやら選挙という「お堅い話」でも広く興味を持ってもらえるよう、あえてB級感を演出しているようだ。

   挨拶文は次のように始まる。

「アベノミクスでお金持ちになられた皆様●(編注:ハートマーク)このサイトはあなたとは関係御座いません。それ以外の99・99%の皆さんにご提案です! 皆さんの税金を使い、毎日高級店の天ぷらや寿司に舌鼓を打ち、皆さんの税金を使った奥様との世界旅行で心身ともにお疲れの安倍総理に、お休みして貰いませんか?皆から巻き上げた税金で大企業に還付と減税、庶民には、長時間労働・低賃金を強いた上に、残業代ゼロに前のめり、医療や福祉は自己負担がこの先上がるのみ、おまけに大切な年金に手を付け、株につぎ込み博打を打つ... どうみても、明らかに、安倍総理はお疲れです。退陣して戴きましょう」

   サイトでは、安倍首相を退陣させるには野党が自民党の100議席を獲得して過半数割れにさせる必要があるなどと丁寧にレクチャーする。その上で、本題である「自民候補に勝てる可能性のある野党候補」を地域別に紹介する。

   選挙区一覧から見たい場所をクリックすると、有力野党候補のプロフィールに加え、前回衆院選で各候補者が獲得した票数、および野党の合計得票数が表示される仕組みだ。ちなみに野党合計得票数の部分には「共産党は除く」という但し書きが添えられている。

   なお、すべての選挙区を掲載しているわけではなく、前回の選挙結果をもとに「自民党落選有力区」「前回の非自民得票数を合わせると自民党票を上回る選挙区」「状況次第で逆転可能な選挙区」のみをピックアップしているという。

サイトには問い合わせページがあるのみ

   サイトには問い合わせページがあるのみで誰か作ったものなのか分からないが、仕掛けたのは参議院議員の山本太郎氏だ。12月2日、自身のブログで「事務所スタッフ、ボランティアの皆さんの尽力により、自民党100人落選サイトがオープン出来ました」とサイトオープンを告知している。

   その中で山本氏は「それぞれの候補者や政党に対して特別な思い入れがある訳ではありません」と説明。安倍政権打倒の共通点だけで賛同するのは難しいという意見、自民党議員が落ちても類似の新自由主義政党や脱原発を装った政党の候補者が当選すれば同じだという意見があることも承知しているという。それでも今回は「最悪の状態を一時的に脱する」「(自民党の)暴走をスローダウンさせる」ために、野党に力を戻す必要があると訴える。

   サイトを巡っては、すでにさまざまな意見が寄せられている。「すげぇわかりやすい!」「誰に入れるか迷った時の参考になると思います」といった歓迎の声も少なくなく「どぶ板選挙」を描いたドキュメンタリー映画「選挙」でも知られる想田和弘監督もツイッターで「面白い試み」と評価。ただし「自民候補に勝てそうな野党の候補が必ずしもマシとは限らないので、使用には注意が必要だが」と続けた。

   一方で「なんか、政権をつぶすのが目的で、その後、日本がどうなっても良いみたいな無責任な運動に見えるな」「ふ~ん、国を良くするためじゃなくて自民党員を落選させるためのキャンペーンですか」「安倍政権で生活が良くならなかった人は民主党時代にはいい生活出来てたの?」などと批判的な声も多い。

   「さよなら安倍政権」のように、一見すると誰が運営しているのか分からない選挙関連サイトがこのところ立て続けに話題になっている。NPO法人代表の大学生が立ち上げた、衆議院解散に疑問を投げかけるサイト「どうして解散するんですか?」は「小学4年生の中村」が作ったと偽ったために閉鎖、謝罪に追い込まれた。安倍首相のFacebookアカウントも名指しで批判するなど大問題に発展した。11月末には「日本未来ネットワーク」という謎の団体が開設した、白票投票を呼び掛けるサイト「黙ってないで、NO!と言おう」も注目を集めた。J-CASTニュースは11月28日に取材を申し込んだが、12月3日に至るまで返答はない。