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水泳・冨田選手の「防犯カメラ映像」が「流出」 決定的な場面ないが疑い晴れたわけではなく...

   2014年9月の仁川アジア大会中に韓国人記者のカメラを盗んだとして略式起訴された競泳の冨田尚弥選手(25)について、検察側が証拠として示していた「防犯カメラ映像」の一部がフジテレビ系のテレビ番組で紹介され、話題になっている。

   肝心の「盗った」とされる部分は映っておらず映像自体も不鮮明で冨田選手が犯人とは断定できない。だが一方で、冨田選手の主張していた「アジア系の男性」の姿も確認できなかった。

上半身倒した後、手でゴソゴソ...

   2015年2月2日の第2回公判では「証拠」とされる防犯カメラの映像が公開される予定だったが、冨田選手側が証拠採用に同意せず、公開は見送られた。検察側が用意した映像は一部が編集されていたほか、モニターに映し出した映像を別のカメラで撮り直した不鮮明なものだったためだ。これを受け、冨田選手側は第3回公判(4月9日)までに映像の「原本(オリジナル)」を出すよう求めている。

   そうした中、この「お蔵入り」となった映像を「独自入手」したというフジテレビ系の情報番組「とくダネ!」と「FNN東海テレビスーパーニュース」が4日の放送内で紹介した。

   映像は事件当日に複数の防犯カメラによって撮影された映像を繋ぎ合わせたものだ。最初の映像は、サブプールからメーンプールにつながる通路を映したもの。胸に日の丸マークのついた赤いTシャツに白い半ズボン、青い手さげバッグを持った短髪男性の歩く姿をとらえていた。

   続く映像はメーンプール会場を斜めから映すアングルで、赤っぽいTシャツに白っぽい半ズボン姿の人物がプールサイドを歩く様子や、記者席付近にやってきて持っていたバッグを記者席に置くような様子を映していた。

   次に紹介されたのが肝心の「犯行現場」となった記者席をとらえた映像だ。記者席に座る人物は、なぜか上半身を後ろに倒す。その後、起き上がって横を向きごそごそと手を動かすと、立ち上がって歩き始めた。後ろを向いた際に何をしていたのかは分からず、決定的瞬間はおさめられていない。

   その後の別の角度からプールサイドを映した映像には、選手とみられる白い半ズボン姿の2人組が合流して歩く姿があった。最後の会場外側を撮った映像は2人組がプールから出てきたところをとらえている。左側の人物は手さげバッグを一瞬持ち上げる仕草を取っていた。

問題の記者席を映した映像は不鮮明

   冨田選手は「とくダネ!」の取材に対し、最初の映像の人物および最後の映像の左側の人物が自身であることを認めている。だが、問題の記者席を映した映像については「僕が映っているかいないかも分からない映像」とコメントしている。

   確かにこの映像は数種類のカットのうち特に不鮮明なものだ。Tシャツの色が識別できないほど彩度も低い。これだけでは冨田選手が犯人と断定する証拠にはならないだろう。

   しかし、疑いが晴れたわけではない。映像には冨田選手が主張する「濃い緑色の長ズボンを履いたアジア系の男」の姿は映っていなかった。11月の会見で冨田選手は記者席に座っていたところ、この男に突然手首を掴まれて奪われたバッグにカメラを入れられたと説明していた。

   そのため、映像を見た人たちからは「これはアウトですね」と冨田選手を「クロ」とする声も少なくない。しかし「韓国警察も冨田も信用できないから何とも言えないなぁ」「この映像じゃ証拠にならん」といった声も多く出ている。

   検察が持っている映像は約10分の長さだという。今回紹介されなかった以外の部分にアジア系の男が映っている可能性は低いとみられる。検察は次回公判で「原本」を出す方針を示しているため、そこで明らかになるとみられる。