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メール・ブラウザ減り、アプリがネット利用の「入口」に LINE出澤社長が今後の拡大戦略を説明

   無料通話アプリで知られるLINEの出澤剛社長は2015年5月27日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見し、今後の拡大戦略について説明した。

   出澤氏は、インターネット利用の主流がPCから多機能携帯電話(スマートフォン)に移行するにつれて、ブラウザやメールの利用が減ってアプリの利用時間が増加すると説明。スマホアプリがネット利用の「入口」になるとして「プラットフォーム戦略」の重要性を強調した。

  • 日本外国特派員協会で会見するLINEの出澤剛社長
    日本外国特派員協会で会見するLINEの出澤剛社長
  • 日本外国特派員協会で会見するLINEの出澤剛社長

「少なくともEメールの大きなリプレース(置き換え)はある」

   出澤氏は、PCからスマホの移行にともなって、人々のネット上の情報の探し方が大きく変化した結果、今後はアプリが従来のポータルサイトが担っていた「入口」「起点」の役割を担いつつあるとの見通しを示した。

「ウェブとアプリの使用時間で言うと、やはりアプリの中でユーザーが時間を使うということが圧倒的に多くなっている。メールの使用率がどんどん下がっていると聞いている。PCのインターネットでは当たり前だった『ポータルサイト、検索サイトから何かを探す』といった動きが大きく変わりつつあるという認識でいる」

   LINEがこれまでのメールやブラウザに取って代わる可能性については、出澤氏は大学新入生の半分がメールを使っていないという調査結果を紹介しながら、

「少なくともEメールの大きなリプレース(置き換え)はあると思っている」 「ただ、Eメールだけでなく、電話だったりあらゆるコミュニケーションに関して、LINEは何か新しい価値を提供できると思っている」

と述べた。

   こういった状況に対応するため、ゲームを柱とした「エンタメ」分野と、決済が柱の「ライフ」分野に注力したい考えだ。

利用者間のメッセージ開示「過去実績は当然ながらある」

   出澤氏は、「情報が漏れている」といった懸念にも反論した。

「我々がユーザー様からお預かりしている情報というのは、基本的には電話番号と、電話帳に入っている友達関係を、我々が見えない形で暗号化してお預かりしている。当然ながらユーザー間の通信に関しても、完全に暗号化されているし、我々自身も見ない、見れないというポリシー」

   ただし、こういった情報は法律に基づいて開示請求があった場合には開示する方針で、利用者間のメッセージのやりとりについても過去に開示した実績があることを明らかにした。

「法律にのっとった手続きの場合には開示する場合がある。基本的には、それがすべてなので、何かイレギュラーなものだったりとか、手続きを外れた形で開示するということはあり得ない」 「数字はお伝えしないが、実績としては当然、法律にのっとって開示の請求があったものに関しては対応している。過去実績は当然ながらある」

   15年秋にも予定されている株式公開(IPO)については、

「今日は特に、その件について新しい話はありません」

と予防線を張った。LINEが現時点でウェブサイトで開示している業績では、売上高と利用者数のみ記載され、利益は開示されていない。企業の情報開示のあり方としては異例で、今後改める予定の有無についても質問が出たが、

「『上場会社だったら』(利益も開示されている)とおっしゃっていたが、上場会社ではないので、我々の基準で開示しているという状況」

と述べるにとどめた。