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手記出版の元少年A、「妻子持ち」だった? 根拠不明の情報がネットで拡散中

   1997年に神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇聖斗事件)を起こした「元少年A」(32)による手記「絶歌」が物議を醸す中、インターネット上では根拠のないウワサが広まっている。

   特に拡散しているのが「元少年Aは妻子持ち」という話だ。

  • 物議を醸している「元少年A」による手記「絶歌」
    物議を醸している「元少年A」による手記「絶歌」
  • 物議を醸している「元少年A」による手記「絶歌」

小林よしのり氏「妻も子供もいるという」

   手記は2015年6月11日に太田出版から発売された。凄惨な事件を起こすに至った経緯、医療少年院を経て04年に社会復帰してからのこと、現在の心境などが綴られている。出版について被害者遺族は事前に知らされていなかったといい、殺害された土師淳くん(当時11)の父親は出版社に回収を要請。ワイドショーでは印税の行方や匿名出版の是非を巡っても議論が巻き起こっている。

   そうした中、インターネット上では元少年Aに関するウワサが出回っている。中でも注目を集めているのが「妻子持ち」という情報だ。

   発信元の一つは2ちゃんねるのようで、10日、手記にそのような記述があったとするスレッドが立てられた。加えて「遺族に結婚式の招待状を贈ったところ、検閲に引っかかって差し戻された」といった書き込みも投稿されている。しかし手記にそのような記述は見当たらず、通読した人々からは「本文には恋人すら書かれていない」「読み終わったけどどこにも書いてない」といった声が上がっている。

   もう一つの発信元は、漫画家・小林よしのりさんが11日に更新したブログだ。小林さんは「酒鬼薔薇Aの現在の顔と名前を報道せよ」と題したエントリの中で「酒鬼薔薇Aは現在30過ぎらしいが、妻も子供もいるという」と書いている。小林さんが何を根拠に綴ったのかは不明だ。現時点ではそうした報道も確認できない。

   にもかかわらず、まとめサイト等ではこれらをソースとして情報を拡散。中には断定的なタイトルを付けているサイトもあり、ネット上では「妻子持ち」ということを既成事実と受け止めている人も少なくないようだ。

元少年A「(女性を)好きにならないよう警戒していた」?

   そもそも加害男性が結婚したという話は、手記発表前から存在したウワサの一つだった。社会復帰した04年以降、ネット上には、

「ファンである女性と結婚した」
「既に結婚して子供もいるって。奥さんも事件の事は了解してるって」

といった書き込みが上がるようになっていたが、当時も根拠は示されていなかった。

   「絶歌」の担当編集を務めた太田出版の落合美砂さんは16日発売の「FLASH」に対し、

「彼は人と親しくなることを警戒しています。親しくなると、その人に対して、自分が殺人者であることを隠すことに耐えられなくなるからです。女性にも同じ。好きにならないよう警戒していた。禁欲的な生活です」

ともコメントしている。ウワサの真相は不明なものの「妻子持ち」の可能性はかなり低そうだ。

   なお、ネット上ではこの他にも「岡山にいるらしい」「愛媛にいるって」「福井市に居るってウワサ」などという居場所に関する情報や、出生に関する情報が駆け巡っているが、いずれも根拠は不明である。また1969年に起きた「サレジオ高校首切り殺人事件」の加害男性(当時15)と混同し、「弁護士になったんじゃなかったっけ?」などとする書き込みもみられる。