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佐野研二郎氏「盗用」疑惑拡大の一途 五輪エンブレム取り下げ不可避との見方も

   五輪エンブレムを手がけたデザイナーの佐野研二郎氏(43)に対し、新たな「盗用」の指摘が相次いでいる。佐野氏への提訴の動きも止まず、ネット上では、エンブレムの取り下げは避けられないとの見方も出てきている。

   佐野研二郎氏の作品では、サントリーのキャンペーン商品のトートバッグに盗用疑惑が持ち上がり、佐野氏側は、30点のうち8点を取り下げた。

  • HP修正後にも指摘が相次ぎ…
    HP修正後にも指摘が相次ぎ…
  • HP修正後にも指摘が相次ぎ…

トートバッグにも、さらに指摘が相次ぐ

   ところが、その後もトートバッグへの疑惑が次々に出ている。ネット上では、少なくとも4点が話題になっているようだ。

   うち「No.25」のデザインについては、「盗用」被害にあったとされたデザイナーの俣野温子氏がブログで苦言を呈する事態になった。俣野氏は、コーヒーカップなどの雑貨デザインに黒猫の顔と尻尾をあしらっているが、佐野氏のトートバッグがこれに似ていると指摘されている。

   俣野氏は16日のブログで、佐野氏が取り下げたトートバッグはコピペが明らかで逃げ場のないものに限られていて、デザインが似ているとされたものを認めなかったのは異論があるとして、「まだ一部分しか認めないという佐野さんの認識は少しご自身に甘いようにも思えます」と批判した。そして、「ある意味コピペよりも悪質かもしれませんが大多数の方が一目見て似ていると判断したものがコピーと判断されます」と指摘した。

   ただ、盗用だと断定するのは難しいとして、黒猫のデザインは認知度が高くなっていることから、「影響があるものとも思えませんのでただ静観していようと思っています」とつづった。その後、俣野氏は、悩んだうえで、このブログ記事を削除したと明かしている。

   トートバッグについては、「No.2」にも、マレーシアのデザイナー、Lim Heng Swee氏の作品と似ているとの指摘が出ている。それは、水色に塗られた中に白い波模様が描かれている点だ。Lim Heng Swee氏のものでは、佐野氏の別の作品も似ているとされたが、はっきりしない部分がある。

「そのような件は、お答えしていません」

   トートバッグの「No.3」は、グラフィックデザイナーの仲條正義氏が12年7月に展示会に出した作品に絵柄がそっくりだとされた。それはチョウのデザイン部分で、色以外は同じだった。

   仲條デザイン事務所に取材したが、担当者が外出していて、すぐには話ができないとのことだった。

   さらに、「No.17」についても、「BBQ BARBEQUE FOREVER」のロゴが米国製のTシャツに似ていると指摘されている。

   サントリーの広報部では、取材に対し、取り下げた8点以外は、問題なくキャンペーンに使えると判断しており、取り下げることは検討していないと言っている。

   トートバッグ以外でも、「盗用」が疑われている佐野研二郎氏の作品が、次々に見つかっている。

   そのうちの1つが、イギリスの人気ロックバンド「ローリング・ストーンズ」の公式Tシャツだ。襟首の裏側にあるデザインが、フランスのギタリスト、ビレリ・ラグレーンさんが1981年に発売したアルバム「Bireli Swing'81」のジャケット裏の写真を反転したものに見えるというのだ。写真は、ラグレーンさんがギターを抱えて歩く様子を写していた。

   Tシャツを販売した衣料品メーカーのバディーズでは、09年と企画が古いため調査していると取材に答えた。

   佐野氏を巡っては、五輪エンブレムについてベルギーのデザイナーが提訴したほか、アメリカのデザイナーもトートバッグに対する提訴も検討していると報じられている。これだけ騒ぎが広がっているため、ネット上では、エンブレムのデザインも近いうちに取り下げられるのではないかとの見方も出てきている。

   佐野氏が代表をしている「MR_DESIGN」に相次ぐ疑惑について取材すると、スタッフの1人が「そのような件については、お答えしていません」とだけ話した。