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多摩美大、佐野氏手がけた「疑惑」の広告作品ページ削除 数日前から問い合わせ続々

   多摩美術大学(東京都世田谷区)が2015年9月4日未明までに、アートディレクターの佐野研二郎氏(43)が手がけた大学の雑誌広告シリーズ「MADE BY HANDS.」を公式サイトから削除した。

   理由は現時点では不明だが、インターネット上では数日前からシリーズの2作品について「写真を無断流用しているのではないか」との指摘が出ていた。

  • 9月3日まではアクセスできたのだが…(画像は多摩美大サイトの「MADE BY HANDS.」が掲載されていたページ)
    9月3日まではアクセスできたのだが…(画像は多摩美大サイトの「MADE BY HANDS.」が掲載されていたページ)
  • 9月3日まではアクセスできたのだが…(画像は多摩美大サイトの「MADE BY HANDS.」が掲載されていたページ)

佐野氏事務所は盗用否定「事実無根です」

   「MADE BY HANDS.」は多摩美術大の卒業生である佐野氏がアートディレクターとして携わり、自身の事務所「MR_DESIGN」で働くデザイナーらとともに制作してきた広告シリーズ。これまでに約100種ものデザインを発表しており、ニューヨークADC金賞をはじめ、さまざまな広告賞を受賞している。

   ネット上ではこのうちの2作品について、個人ブログや情報サイトに掲載されていた写真を無断流用したのでは、との指摘が8月末ごろから続出。作品中に使用されている手影絵とメガネのデザインに「パクリ元」とされている画像を重ねると、それぞれぴったり重なるというのだ。

   これについて「MR_DESIGN」の広報担当者は3日夜、J-CASTニュースの取材に応じ、2点の作品に指摘されている画像を無断流用したという話は「事実無根です」と完全否定。手影絵の画像については「紙で切り絵を制作しMR_DESIGNで撮影したもの」、メガネの画像については「この作品を担当したスタッフが実際使っていたメガネを撮影し制作したもの」と説明していた。

アーカイブページにはエラーメッセージ

   一方、多摩美大総務課は3日昼、一般の人々から広告シリーズに対する意見や質問が多数寄せられていると明かした。その上で同問題の対応については「現在学内で検討中。必要があれば佐野氏にも事情を聞く」とJ-CASTニュースの取材にコメントしていた。

   ところが4日現在、同大サイトに掲載されていたシリーズのアーカイブは閲覧できない状態になっている。ページにアクセスすると「指定されたページを見つけることができませんでした」とのエラ-メッセージが表示されるようになっており、何らかの事情で削除したようだ。

   改めて同大総務課に問い合わせたところ、「担当者が八王子キャンパスに打ち合わせに行っているため、現在は回答できない」とのことだった。

   なお佐野氏は14年4月、多摩美大に美術学部統合デザイン学科が新設されたのに合わせて同大教授に就任。不定期で特別講義などを担当してきた。16年以降は「佐野プロジェクト」と呼ばれる3、4年生の授業を担当する予定になっている。

   (4日15時追記)多摩美大総務課はJ-CASTニュースの取材に対し、「一般の方々からの問い合わせがあまりにも多く、掲載を見合わせた」と説明した。疑惑について何か大学側で判断したということではなく、あくまで相次ぐ問い合わせを受けた一時的な措置だという。