2024年 4月 20日 (土)

農業と食料供給のための技術を提供し、「遺伝子組み換え作物」への不安、解消していく
モンサント 山根精一郎氏に聞く

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   遺伝子組み換え作物は、ドキュメンタリー映画や書籍などで盛んに批判が行われている一方、日本には年間約1600万トン輸入され、主に家畜の飼料やサラダ油などの油類に用いられており、今日では日本の食の一端を担っている。

   厚生労働省では、遺伝子組み換え作物の食品としての安全性について、パンフレットを通じて「食べ続けても問題ありません」と周知している。だが、不安を抱く人もいる。そこで、遺伝子組み換え作物の種子や農薬開発の世界大手企業、モンサントの日本法人である日本モンサント株式会社の山根精一郎氏に「遺伝子組み換え作物」について話を聞いた。

  • 遺伝子組み換え作物について語る山根氏
    遺伝子組み換え作物について語る山根氏
  • 遺伝子組み換え作物について語る山根氏

遺伝子組み換えは食料増産と資源の保全につなげられる重要な技術

――そもそもなぜ、遺伝子組み換え作物が必要なのでしょう。

山根 世界の人口は、2050年には現在より3割多い90億人に達すると考えられます。これに対応するには、今より倍の食料が求められます。単純に食料も3割増といかないのには、人々の生活が豊かになって肉食が増えている事実があります。牛肉1キロ得るには、トウモロコシ約10キロが必要なため、膨大な量の穀物を賄わなければならなくなるからです。
   ところが、地球上にこれ以上農地は増やせませんし、水資源にも限りがあります。問題解決には、農業技術を活用して土地や水などの自然資源を保全しつつ、生産量を増大することが必要です。モンサントでは大豆、トウモロコシ、ナタネ、綿(わた)の収量を2030年に2000年の倍にする目標を立てていますが、育種、農薬、微生物製剤、精密農法などの栽培管理方法と並ぶ重要な技術として、遺伝子組み換え技術を推進しています。
   遺伝子組み換えは、従来の育種ではできなかったことを実現する新しい育種技術ととらえて頂くのがよいのではないかと思います。例えば、ハワイの特産品のひとつ、パパイヤは1970年代にウイルス病が発生して壊滅状態になりました。育種技術を駆使してウイルスに抵抗性を持つパパイヤを作ろうという試みも失敗しました。そこで米コーネル大や米農務省が遺伝子組み換えでウイルス抵抗性のパパイヤを開発し、ハワイのパパイヤ産業を救ったという例があります。

――遺伝子組み換え作物反対派は映画や書籍で、「環境や人体に与える影響は誰にも分からない」と主張しています。安全性をどのように説明しますか。

山根 遺伝子組み換えでつくった害虫抵抗性のトウモロコシを例に挙げると、害虫が食べると死ぬ「Btタンパク質」の遺伝子をトウモロコシに入れたもので、従来のトウモロコシとの違いは遺伝子が1つ加わった点です。実は人間は、トマトでも魚でも「膨大な数の遺伝子」から成る食物を日々食べています。遺伝子は基本的に私たちの消化器官で分解されるので、これまでの長い歴史の中で「遺伝子を食べる」ことで人体に問題が起きたことはありません。
   遺伝子はタンパク質を作るもので、タンパク質は消化されます。確かに、消化されずに腸に達してアレルギーを起こすタンパク質もありますが、消化されれば分解されてアミノ酸となり、腸で吸収されてアレルギーは起こしません。国際的な安全性評価基準では、タンパク質が消化されるかどうかをしっかり確認しています。
   遺伝子もタンパク質も消化されれば、体の中に何かが残るわけではありませんので、子どもや孫の体に影響が受け継がれる心配もありません。
   さらに日本では食品安全委員会が、こうした点を含め当社が提出したあらゆる研究データを分析したうえで、安全性を確認しています。
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