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日本初「目」の機能性表示食品 中高年層に効果をアピール成功

   ファンケルが2015年6月19日に発売した「えんきん」は、同社初の機能性表示食品だ。ルテイン、アスタキサンチン、シアニジン-3-グルコシド、DHAを含み、パッケージには「手元のピント調整力に」「中高年の目の健康に」とある。

   発売から約3か月が過ぎた9月中旬、商品サイト上に「注文が集中しております」と書かれていた。売れ行き好調のようだ。

  • 「えんきん」は、最終製品を用いた臨床実験を実施
    「えんきん」は、最終製品を用いた臨床実験を実施
  • 「えんきん」は、最終製品を用いた臨床実験を実施

月間売り上げが当初計画の2.5倍

   今年4月にスタートした機能性表示食品制度では、メーカー側が消費者庁に必要事項を届けることで、商品に機能性を表示できるようになった。国の審査を受けずにすむ代わりに、機能性の科学的根拠を示さねばならない。「えんきん」の場合は「最終製品を用いた臨床実験」により機能性を評価した。

   届出情報によると、目の疲れを感じている45~64歳の男女50人を対象に、半数には「えんきん」を、もう半数には機能成分のない「プラセボ」を各4週間飲ませた後、近点調節力の変化を解析したところ、「えんきん」摂取グループが有意に高い値を示したという。「近くが見えやすくなった」という結果だ。

   インターネット上には、「パソコンやスマートフォンの画面を見る機会が多い」という購入者の書き込みが見られる。老眼や眼精疲労の悩みから、「えんきん」を選ぶようだ。ただ、「疲れ目が気になる」消費者に向けてルテインやDHAのサプリメントは数多く販売されている。アピールに成功できたのは、どうしてだろう。

   大きな要因は、機能性表示食品として売り出した点にあるようだ。ファンケル広報グループに聞くと、「『手元のピント調節機能を助けると共に、目の使用による肩・首筋への負担を和らげます』と明確に表示でき、消費者にストレートに伝わっていると感じています」。ターゲットとする中高年層にとって、体のどの部位に効果があるのかが商品の表示のおかげで分かりやすい。これに対して、特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品、機能性表示食品を除くいわゆる「健康食品」には具体的な機能表示は許されず、体のどこにどう効くとは言えないのだ。

   8月の月間の売り上げは、ファンケルの当初計画の2.5倍に達し、年商30億円の売上高を見込んでいる。この数字は、「当初の目標よりかなり多い」そうだ。

臨床試験を実施したからこそ効果に自信がある

   「えんきん」は、以前販売されていた「ルテイン&ブルーベリー えんきん」と比べると、「ホウレンソウに多く含まれる」というルテインが6ミリグラムから10ミリグラムへと増量されている。ファンケル広報グループによると、処方を見直すなかで「目の健康によい」というデータが出てきたからで、以前の製品の効果をパワーアップさせた。

   製品の大きな特徴は、「最終製品を用いた臨床実験を実施した」点だ。機能性表示食品として消費者庁に届け出る際の科学的根拠は、仮に自前で臨床試験を実施しなくても、製品または成分に関する研究論文を賛否両方について集め、各論文の質を踏まえて検討し機能性を総合的に評価する「システマティックレビュー」も認められている。実際に、システマティックレビューを選ぶメーカーも少なくない。

   ファンケル広報グループは、こう話す。「実際の製品を使って当社が臨床試験を実施し、そのデータに基づいているからこそ効果の確実性には自信があります」。