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「他人の金で難民しよう」と書かれたイラスト 差別表現だとして「SEALDs」奥田氏が強く批判

   「他人の金で。そうだ 難民しよう!」。こんなキャッチフレーズを載せた「難民」のイラストがフェイスブックに投稿され、波紋を広げている。

   イラストが載ったのは、30代の女性が描く政治的な漫画を紹介するフェイスブックのコミュニティページだ。

  • ツイートでイラストが拡散
    ツイートでイラストが拡散
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「先に母子家庭を装って難民申請→定住GETし、後からパパを呼び寄せる手筈」

   2015年9月10日にアップされ、女性のフェイスブックにも載った。中東とみられる田園と住宅地の写真の上に、上目使いの「女性難民」の漫画が描かれている。

   そして、イラストの上に、「安全に暮らしたい 清潔な暮らしを送りたい 美味しいものが食べたい」「何の苦労もなく 生きたいように生きていきたい」などと白字であり、前出のキャッチフレーズが大きな白字で強調されていた。

   コミュニティページには、イラストの紹介文が書き込まれており、「シリア難民?ほとんど『移民』だろw」とあった。続いて、その1週間前にトルコの海岸で水死体となって見つかり、大きな話題となったアイラン・クルディちゃんについて、根拠不明の内容がつづられた。

   「自称シリア難民のお子さん一家」として、「トルコ政府から無償援助を受け取っていた」「先に母子家庭を装って難民申請→定住GETし、後からパパを呼び寄せる手筈だったのではないか、との疑い」などと書いている。

   その後、安保法案への反対運動をした学生団体「SEALDs」代表の奥田愛基さんが、30日になって、ツイッターでこのイラスト画像をアップして取り上げた。

   難民の話としてフェイスブックでシェアされていたと紹介し、「あり得ないでしょ」と強く批判した。そして、もしイラストを見つけたら、フェイスブックに通報するよう促している。

   奥田さんはメディアで一躍脚光を浴びただけに、このツイートは大きな反響を呼び、2000以上もリツイートされた。

「弱者を愚弄」、「表現の自由」と意見が分かれる

   その後、ネットユーザーが、フェイスブック運営側に通報した結果をツイッター上で報告した。ユーザーは、差別発言は削除するとしたコミュニティ規定に抵触すると指摘したが、フェイスブックの運営側からは、規定違反にはならないとの回答が来たとした。

   この問題は、ネット署名サイト「change.org」で、イラストはレイシズムでフェイスブックはそれを認めるよう求める署名活動に発展し、10月2日夕現在で4000人ほどの賛同者を集めている。

   イラストを投稿した30代女性は、そのフェイスブックなどを見ると、慰安婦問題で韓国を攻撃したり、SEALDsを揶揄したりする書き込みなどをしていた。ほかのイラストも、こうした内容のものが多い。「女性難民」については、ネット上のある写真に酷似していたため、これをトレースして描いたのではないかとの指摘も出ていた。

   フェイスブックの日本の広報担当者に、イラストのことを取材したが、2日夕現在でまだ回答が来ていない。

   イラストの内容について、ネット上では、様々な意見が出ている。

   非難する向きとしては、「シリア難民支援を妨害する卑劣な差別煽動」「弱者を愚弄している様に見える」という声があった。一方で、「便乗して紛れ込んでる奴らも相当いると思うけど」「難民を批判することすら許されないのか」「表現の自由を封殺するな!」と一定の理解を示す意見も多かった。