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「ゆうパック」で遺骨送って3万円から永代供養 「便利でいい」のか「倫理観疑われる」のか

   遺骨を寺院に宅配便で送って永代供養してもらう「送骨」というサービスに、注目が集まっている。

   宗旨・宗派にかかわらず、誰でも3万円程度で利用できて、審査やお布施、管理費用などもかからない。利用者(遺族)は日本郵便の「ゆうパック」で遺骨を寺院に送るだけで、墓地に埋葬してもらえる。

  • お骨も宅配便で寺院に送る時代に・・・(画像はイメージ)
    お骨も宅配便で寺院に送る時代に・・・(画像はイメージ)
  • お骨も宅配便で寺院に送る時代に・・・(画像はイメージ)

お墓をもたず、遺骨を自宅に保管したままの人が増えている

   「送骨」サービスが注目される背景には、核家族化や少子高齢化、老人の孤独死などによって、「行き場のない遺骨」が社会問題になっていることがある。墓地や墓石の価格が上がって、お墓を買うことができない人のほか、「お参りできない遠くのお墓はイヤ」という人、寺院との関係を煩わしいと考えている人などが増えている。最近は「遺された家族に迷惑をかけたくない」という人もいる。

   その結果、埋葬のタイミングを逃してしまい、お墓をもたず、遺骨を自宅に保管したままの人が多くなっているとされる。

   僧侶・お坊さんの手配や永代供養墓・墓石の正しい買い方を提案する名古屋市の企業「プロ」は、「お坊さん.jp永代供養ネット」でこうしたサービスを提供しており、同社は「『送骨』は以前からあったサービスです」と話す。

   ただ、最近はお墓がないことに加えて、高齢者などには重い遺骨を抱えて移動するのもひと苦労だ。インターネットや電話で簡単に申し込みでき、専用の「送骨梱包キット」を使って遺骨を寺院や霊園に持参しなくても納骨できる便利さから、利用が広がっているようだ。

   同社は現在、19の寺院・霊園と提携して「送骨」サービスを提供している。代金は3万円が基本だが、寺院によって異なる。たとえば、神奈川県の観音寺は送骨納骨が3万円、一般戒名付きで5万円。京都府の城興寺は送骨納骨が5万円、一般戒名付きが7万円だ。

   同社は「最近は2~3割ほど利用が増えました」という。

   首都圏でも「送骨」サービスを受け入れている寺院はある。「送骨.com」によると、東京都大田区の本寿院や神奈川県平塚市の円宗院、埼玉県熊谷市の見性院、茨城県境町の西光寺などだ。

   ある寺院では「送骨」で受け入れている遺骨は、年間数十件になるという。

   「お骨の持ち運びは重労働。電車などに乗っても膝に抱えているしかありません。意外と苦労するんですよ。高齢者が増えたこともあって、お骨の移動手段として利用されているようです。もちろん、しっかりご供養させていただきます」と話す。

佐川とヤマトは「送骨」対応せず

   ただ、こうした「送骨」サービスが利用できるのは、日本郵便の「ゆうパック」だけ。宅配便大手の佐川急便とヤマト運輸では、紛失時などのトラブルがあった場合に対応できないことを理由に引き受けていない。

   ちなみに、「ゆうパック」が取り扱いできないケースは、爆発や発火の恐れがある危険物や毒物・劇薬、生きた病原菌や病原体、人に危害を与えるおそれのある動物、現金などがある。遺骨を送ることは差し支えない。

   また法的にも、遺骨を放置したり捨てたりしないし、埋葬方法にも問題はないため、違法性はないとされる。

   とはいえ、インターネットには、

「古いかもしれないけど、さすがに抵抗あるなぁ」
「こんなことするなら火葬場で遺骨拾わずに処分してもらえ!脚で運ぶのが億劫なら供養などするな!人間力が低下してるわ!」
「法律云々より倫理観が疑われるような気がする」
「もう、無茶苦茶だな!」

といった否定的な声がある。

   その一方で、

「さまざまな人がいるからね。それもありかな」
「別に骨を送るくらい、いいんじゃないの」
「めっちゃ便利やん」

との声も。

   また「ゆうパック」に対しても、

「郵便局から遺骨が送れるのか? そりゃビックリだわ」
「おいおい、郵便局やりすぎ」
「ラベルの備考に『遺骨』って書くのかな? 取り扱う郵便局員は嫌だろうよ」
「遺骨と一緒に積まれた商品とか微妙な気分になるわ」

との声が寄せられている。