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オナニーをするとハゲるってホント?

   「オナニーをし過ぎると頭が悪くなる」「スポーツ選手はオナニーをしない」「オナ禁をすると体調がよくなる」......。そうでなくてもコソコソするオトコのオナニーに好意的な都市伝説はない。

   その最たるものが「オナニーをするとハゲる」というもの。これってホントなら悲惨だが――。

  • 「オレたち、亜鉛大好きパワフル兄弟」(イラスト:サカタルージ)
    「オレたち、亜鉛大好きパワフル兄弟」(イラスト:サカタルージ)
  • 「オレたち、亜鉛大好きパワフル兄弟」(イラスト:サカタルージ)

オナニーで「育毛ミネラル」亜鉛が無駄になる? いいえウソです

   結論から言うとウソである。ただし、火のない所に煙は立たず――。皮膚科専門医のサイトなどをみると、もっともらしい意味づけが2つある。第1の理由とされるのが亜鉛だ。精液の中には亜鉛が含まれており、精子の量を増やし、動きを活発化させる働きがある。米国ではズバリ「セックスミネラル」と呼ばれて、精力剤には必須の栄養素だ。

   一方、亜鉛は「育毛ミネラル」といわれるほど髪の毛に欠かせない栄養素でもある。髪の毛の約90%はケラチンというタンパク質でできている。ビタミンの働きを借りて、メチオニンというアミノ酸からケラチンを合成するのが亜鉛なのだ。亜鉛が不足すると白髪や薄毛になりやすい。「オナニーで精液を放出すると、髪の毛にいくはずの亜鉛とタンパク質を無駄に消費してしまう」というのが「オナニー→ハゲ説」の理由の1つというわけだ。

   これに対して、ある専門医はサイトでこう反論している。「射精ごときで体内の栄養バランスは崩れません。亜鉛も通常の食生活をしていれば、それなりに摂(と)ることができます」。亜鉛を含む食品で有名なのは牡蠣(カキ)だ。レバーやチーズ、卵、納豆、アーモンド、貝類、肉類、豆類にも豊富に含まれている。ついでにいうと、ケラチンの元になるメチオニンを豊富に含むのは、魚介類、肉類、乳製品、豆類......。確かにみな日々の食事十分に摂れる。

「薄毛だと絶倫」伝説、耳にするけれど

   第2の理由は、あの有名な都市伝説「ハゲの男は精力絶倫」にからんでくる。ここで、脱毛のメカニズムを簡単に説明しよう。日本皮膚科学会の「男性型脱毛症(=いわゆるハゲ)診療ガイドライン」では、毛が抜ける仕組みをこう解説している。男性の髪の毛や、顔の髭の根元に毛乳頭という突起がある。この毛乳頭には、代表的な男性ホルモンの1つ「テストステロン」を受け止める受容体がある。テストステロンは「精力増大」「骨格と筋肉の成長」「活力が出る」などの効果があり、男らしさの源だ。

   しかし、テストスロテンは受容体と「5αリダクターゼ」という酵素を媒介して結びつくと、脱毛因子「ジヒドロテストステロン」(DHT)に変わってしまう。「ハゲは絶倫」とされる伝説のルーツはこのDHTにあるのだ

   面白いことに、DHTは髪の毛の毛母細胞の増殖を抑え、抜け落ちさせるのに、顔の髭の方は毛母細胞の増殖を活発にし、太く濃くしてしまう。なるほど、ショーン・コネリーはハゲもカッコいいが、ふさふさとした髭も見事だ。だから俗に「髭はハゲない」という都市伝説は正しい。

   話が脱線したが、男性ホルモンが脱毛の一因となるのは確かで、「オナニーをすると、男性ホルモンが増えるから」というのが「オナニー→ハゲ説」の第2の理由となる。

勃起神経は使わないと退化、体にいい「ほどほどのオナニー」

   これに対する専門医の反論はこうだ。「オナニーをしている時に分泌される男性ホルモンの量など微々たるもの。セックスをしている時の方がはるかに多く分泌します。セックスしている人はみなハゲていますか?」。むしろオナニーをしないと古い精子がどんどんたまり、健康によくない。勃起神経は定期的に使わないと退化する。禁欲するとED(勃起障害)になる恐れもあるのだ。専門医たちは「ほどほどのオナニー」を勧めている。