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納豆 ネバネバの中から見えてきた「若返り」の秘密

   「納豆とシジミに朝寝おこされる」と江戸の川柳にある。納豆は昔から日本人に親しまれてきた。「畑の肉」といわれる大豆を発酵することでさらにパワーアップした納豆だが、新しい健康効果でも注目されている。

   納豆には、ポリアミンという成分が多く含まれている。ポリアミンは約300年前に発見されたが、最近、やっとその働きがわかってきた。老化と動脈硬化の予防に効果を発揮する。ポリアミンは細胞の生まれ変わりを促進し新陳代謝を活発化させるため、不足すると細胞の老化が進む。乳児の成長に欠かせないため母乳に多く含まれる。体内でも作り出されるが、20歳頃をピークに減少していく。マウスの実験では、エサにポリアミンを与えたマウスと与えなかったマウスの毛並みや生存率を比べると、与えたマウスの方が長生きをし、毛並みも若々しかった。

  • このネバネバの中に体にいい栄養素がギッシリ!
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美人ホルモン力を生かすなら「夜納豆」が

   また、ポリアミンには動脈硬化の原因となる血管壁の炎症を抑える効果があることもわかった。動脈硬化予防といえば、ネバネバ成分のナットウキナーゼという酵素にも血栓を溶かして血液をサラサラにする効果がある。それだけではない。腸内の善玉菌(ビフィズス菌など)を増やして悪玉菌を減らす整腸作用や、カルシウムの吸収を促進して骨を丈夫にする骨粗鬆症予防効果もある。ナットウキナーゼは、食べてから1時間後に働き始め、効力は8時間以上続く。心筋梗塞は明け方近くに発症する例が多いので、朝食に納豆を食べるより「美容健康には『夜納豆』がいい」といわれるのはこのためだ。

   また、豊富に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと化学構造がそっくりで似た働きをする。エストロゲンは、肌にうるおいをもたらしたり、体に丸みを作ったり、女性らしくする「美人ホルモン」だ。更年期障害のようにエストロゲンが不足した状態になると、イソフラボンが補うように働く。また、イソフラボンには免疫力を高める働きもあるので、がん予防も期待できる。

世界一の天才少年を生んだ?「納豆の底ヂカラ」

   レシチンも最近注目されている栄養素だ。学習能力を高めて記憶力や集中力、創作能力を強化するために大事な働きをするのが、脳の情報伝達物質アセチルコリンだが、レシチンがその原料になるのだ。また、レシチンには脳に重要な睡眠の質を向上したり、イライラや興奮を鎮めてリラックスさせたりする働きがある。「頭が良くなる栄養素」といわれる。

   1995年に米国の天才少年マイケル・カーニー君が来日した。4歳の時から1年で4学年ずつ進級して10歳で大学を卒業、ギネスブックの世界最年少記録になっている少年である。「なぜ君はそんなに頭がいいの?」と日本の報道陣に聞かれたカーニー君の答えがこうだった。「納豆が大好きだから!」。カーニー君の母親は日系2世。和食中心の食生活で、小さい頃からおやつ代わりに納豆を食べてきた。もちろん、レシチンの働きかどうかは、神のみぞ知るである。