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「エナジードリンク」飲み過ぎでカフェイン中毒死 コーヒーやお茶は毎日飲んでも大丈夫?

【羽鳥慎一モーニングショー】(テレビ朝日系)2015年12月22日放送
「眠気覚まし飲料常用で20代男性がカフェイン中毒死」

   エナジードリンクを頻繁に飲んでいた九州地方の20代男性がカフェイン中毒で死亡していたことが、2015年12月21日、福岡大法医学教室の発表によって明らかにされた。

   カフェインによる中毒死は、海外では10数件報告されているが、厚生労働省は「ここ10年間では、カフェイン中毒死は聞いたことがない」としている。しかし、専門家のサイトをみると、「わかっているだけで、毎年10数件の重篤な患者が搬送されており、ほかの死因に隠れているケースがある可能性もある」と指摘する。

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「可愛いから」と女子も飲みすぎるエナジードリンク

   カフェインは、エナジードリンクだけではなく、コーヒーや緑茶、紅茶などにも含まれている。いったいどのくらい飲んでいれば大丈夫なのか。

   そもそもエナジードリンクと栄養ドリンクはどう違うのか。栄養ドリンクは、医薬部外品に入り、「滋養強壮」「栄養補給」などの効能をうたうことができる代わりに、カフェインは1本につき50ミリグラム以内の規制を受ける。しかし、エナジードリンクは清涼飲料水に入るため、効能をうたえない。使える成分に限りがあり、例えば滋養強壮に効果があるタウリンは使えない。しかし、カフェインは200ミリグラムまではOKだ。

   アミノ酸や糖分を配合して甘く飲みやすくして、デザインも華やかにしているものが多く、「眠気覚ましに」「元気が出るから」「可愛いから」と、若い世代に人気だ。ここ数年急速に売り上げを伸ばし、富士経済研究所の調べによると、2011年に100億円を突破、2013年には355億円に達した。

   番組で、エナジードリンク問題を取り上げた。まず、飯村真一リポーターが、各飲食物のカフェイン含有量を紹介する。

   (1)エナジードリンク1本 80~140ミリグラム

   (2)コーヒー1杯 135ミリグラム

   (3)紅茶1杯 43ミリグラム

   (4)緑茶1杯 30ミリグラム

   (5)板チョコレート1枚(平均) 30ミリグラム

   (6)コーラ1缶 36~46ミリグラム

   ところで、カフェインをどのくらいとれば安全なのだろうか?

日本にはカフェインの安全基準がない

飯村「実は、日本には食品安全員会などの基準がないのです。そこでカナダ保健局の1日の摂取量の基準を紹介します」

   (1)成人男女 400ミリグラム(コーヒー3杯・緑茶13杯分、カッコ内は編集部調べ。以下同)

   (2)妊婦 300ミリグラム(コーヒー2杯・緑茶10杯分)

   (3)4~6歳児 45ミリグラム(コーラ1缶・板チョコ1枚半分)

飯村「カフェインを摂(と)りすぎると、めまい、ふるえ、下痢、吐き気、不眠症が出て、心拍数が増加するといわれます」

   ここで、カフェインに詳しい栗原久・東京福祉大短期大教授が登場して、素朴な疑問に答える。

Q:「1日にどのくらい飲むと危ないのでしょうか」
栗原教授「エナジードリンクには200ミリグラムまで規制がないので、効能を高めるためにカフェインをどんどん入れる傾向があります。ジュース感覚で飲んではいけません。九州の男性がカフェインの錠剤も飲んでいました。1粒に100ミリグラム入っていますから、数錠から10錠一気に飲むのは危険です。エナジードリンクだけでは死に至らなかったでしょう。要はほどほどにです」

風邪薬や酒と一緒に飲むと命にかかわる

Q:「風邪をひいた時に、薬とエナジードリンクを一緒に飲んでも大丈夫?」
栗原教授「非常に危険です。風邪薬の中に気管支を広げる成分がありますが、カフェインも同じ作用があり、効果が増強します。すると心臓に大変な負担がかかり、不整脈のある人は心臓が止まってしまう場合があります」
Q:「お酒とエナジードリンクのカクテルを出す店がありますが、大丈夫?」
栗原教授「非常に危険です。酒は脳の働きを抑えます。一方、カフェインは脳の働きを高めるので、効果が相殺されて、飲んでも酔いません。そこでどんどん酒が進んでしまう。カフェインはすぐに代謝してなくなるので、体に過剰なアルコールだけが残って、急性アルコール中毒になります。米国ではこれが多発したので、カフェイン入りの酒の販売は禁止になりました。日本では規制はありませんが、絶対にやめましょう」
羽鳥慎一アナ「エナジードリンクも過剰に心配する必要はないが、過剰に飲まないようにということですね」
栗原教授「はい。カフェインは薬です。どんな薬もそうですが、量が多いと毒になります」