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女性市議「結婚していない市長との議論は無理」発言 「これセクハラにならないの?」とネットで批判噴出

   秋田県大館市の本会議で、子育て政策について質問した元社民党秋田県連副代表の相馬ヱミ子市議(67)が、独身の福原淳嗣市長(48)に対し、「結婚していないし子供もいないから議論するのは無理。結婚でもしてから改めて議論をしたい」などと発言したため、議会は騒然となった。

   相馬議員はこの発言について、市長を批判する意図はないし、自分は市長から「お母さん」と呼ばれているため「親心」での発言だった、と弁解したが、市議会は16年3月1日の本会議で戒告の懲罰を科した。

  • 結婚して子供がいなければ育児問題は語れないのか?秋田県大館市の女性議員の発言がネットで物議に(写真はイメージ)
    結婚して子供がいなければ育児問題は語れないのか?秋田県大館市の女性議員の発言がネットで物議に(写真はイメージ)
  • 結婚して子供がいなければ育児問題は語れないのか?秋田県大館市の女性議員の発言がネットで物議に(写真はイメージ)

「任期中の4年間に結婚でもしてもらい議論したい」

   問題の発言は2016年2月29日に開催された本会議でのこと。相馬議員は市内の保育士不足について、保育士の資格を持っている「潜在保育士」の活用を主張し、それには保育士の処遇を改善すべきだと訴えた。J-CASTニュースが市の議会事務局に取材すると、こんなやり取りがあったのだという。福原市長は相馬議員の質問に対し、

「個別の一つ一つの対応については、できるだけ早く方針を決めたい。ご理解を願いたい」

と返した。具体的な政策が市長の口から出なかったことに業を煮やしたのか、相馬議員は、

「市長は結婚もしていないし、子供もいない。同じ土俵で議論するのは無理です」

   そして、

「ぜひこの任期中の4年間に結婚でもして、改めてこういう議論をさせていただきたいと思います」

と質問を終えた。すると議会は騒然となり「それは市長に対する侮辱だ!」「問題発言だ!」「発言を取り消したほうがいい」などといった野次が飛んだ。相馬議員はこうした野次に対し、

「不規則発言はやめてください」

と応戦した。最終的に議長が静まるように注意する事態になった。

   相馬議員の一連の発言を問題視した市議12人が懲罰動議を出し、市長のプライバシーを傷つけたことや、議会の円滑な運営を妨げ混乱させたなどの理由から「公開の議場における戒告」が可決、16年3月1日に議長が戒告文を読み上げた。報道によれば相馬議員は、

「以前の一般質問で市長から『お母さん』と言われ、大変うれしかった。決して市長を批判する意図はなく親心。2人の息子を育て、6人の孫がいる立場として子育て施策の重要性を訴えたかった」

と話しているという。J-CASTニュースが真意を聞くため16年3月2日に相馬議員の自宅に何度も電話をしたが誰も出なかった。

「男の発言ならフルボッコで辞任に追い込まれるよな?」

   市の議会事務局によれば、相馬議員は十数年前に、所属する党や会派は違うが、当時議員だった福原市長と約8年間一緒に同じ仕事に打ち込んだ仲で、昨年の議会で市長は、

「当時の相馬議員を姉のように思っていたが、現在はお母さんのように思っている」

と発言したという。ただし、「母親」としてのアドバイスならプライベートで行うべきもので、本会議という公の場でやるのは言語道断だという意見が議会関係者にはあるという。

   今回の市議会の騒動についてネットでは、

「これ、60代の爺市議が40代の独身女性市長に同じことを言ってたら、たぶん全国ニュースで朝昼晩と360度フルボッコで辞任に追い込まれるよな?」
「男→女だとテレビでも取り上げまくるのに、逆だと静かなもんだな」
「発言者が女でサヨクってところがミソだな。もしこれが片方でも逆だったら大騒ぎだろう」
「男女平等を謳ってるならこれはセクハラで完全にアウトだろ。ダブスタはやめろ」

などといったことが掲示板で語られている。14年6月には東京都議会本会議で塩村文夏都議(37)が妊娠や出産に悩む女性への支援策に関する質問をした際に、「自分が早く結婚したらいいじゃないか」「産めないのか」などといったセクハラ野次が飛んだとして大問題になった。誰が野次を飛ばしたのか日本音響研究所による音声分析まで行われ、鈴木章浩議員が公の場で謝罪することになった。