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生活保護費プリペイド制「利用者少なく断念」に異論 「パチンコに行くような人が利用する訳ない」

   大阪市が2015年度から鳴り物入りで進めてきた「VISA」カード加盟店で使えるカードを使った生活保護費のプリペイド払いが16年3月末で終了した事が分かった。利用世帯数の目標を2000世帯としていたが65世帯しか利用せず、継続は困難と判断した。

   カードの機能を使い、市が受給者の金銭管理支援を目的にしたものの、「普段利用している店は、カード決済ができない」「プライバシーを覗かれるのは嫌だ」といった理由から敬遠されたようだ。

  • 大阪市は「VISA」カードを使った生活保護費のプリペイド支払いを昨年度末で終了。ネットで「もう終わりかよ!」などと批判の声があがった(写真はイメージ)
    大阪市は「VISA」カードを使った生活保護費のプリペイド支払いを昨年度末で終了。ネットで「もう終わりかよ!」などと批判の声があがった(写真はイメージ)
  • 大阪市は「VISA」カードを使った生活保護費のプリペイド支払いを昨年度末で終了。ネットで「もう終わりかよ!」などと批判の声があがった(写真はイメージ)

大阪市の受給者は日本で最も多い11万7000人

   市は14年12月26日に「全国初!Visaプリペイドカードによる生活保護費の支給」をモデル的に実施すると発表し、15年2月から生活保護受給者に利用希望を募り15年5月からこのモデル事業を実施した。大阪市の受給者は自治体としては最多で、12年10月時点では11万9000人。現在は11万7000人になったがこれをさらに減らすために、カード機能を使って受給者に家計管理を行なわせ、さらに市がカードの利用状況を知ることにより金銭管理支援を行おうというものだった。一人あたりの受給額は平均8万円で、そのうちの3万円をカードに振り込むことにした。試験期間は半年から1年間で、その後は本格稼働する予定になっていた。

   市は当初2000世帯の利用者世帯を想定していたものの、スタート当初は5世帯で、最終的には65世帯しか集まらなかった。このモデル事業に関しては反対意見もあり、15年1月に法律家らでつくる「生活保護問題対策全国会議」が違法性があるなどとした記者会見を開き、プライバシー権と自己決定権を侵害する、カードを利用できない店があるため日常生活に支障が出る、などとして当時の橋下徹市長に撤回を求めた。

   市の生活福祉部保護課はJ-CASTニュースの16年4月14日の取材に対し、

「結果的に65世帯しか集まらず継続するのは難しいと判断した。詳しい事については検証中ですが、実施時期が時代的に早すぎたとも言えるかもしれません」

と答えた。利用者が少ないことに関して市は、受給者の55%以上が65歳を超えているという状況があり、いつも買い物をしている個人商店や小さなスーパーではカード利用ができなかったり、パソコンやスマートフォンを持っていて使えるということが前提のため、使用が難しかったりしたようだ、と説明した。

「もう終わり?」「ナマポのお金は空から降ってくるわけじゃない」

   実はこの市の取り組み、ネット上では発表当初からかなり注目されていたのだ。というのも、テレビの生活保護費支給者の実態を検証する番組で、パチンコなどギャンブルに興じている姿が映し出されたり、受給資格がないのにも関わらず受け取っているなどの事案が報じられたりしたため、市が使い道を管理することによって不正受給が減るのではないかと期待していたのだ。そのため落胆の声があがっていて、

「導入するってなったときは、さすがって思ったのに、もう終わり? 何のためにやったの?」
「保護費でタバコや酒を買ったりパチンコに行くようなヤツらが進んでプリペイドカードを使う訳ない」
「強制しなきゃ意味ないじゃん。カードもありますよ~、って選択制にして、利用低迷ってアホかと」
「生活監視?当然じゃん。そのナマポのお金は空から降ってくるわけじゃないんだよ。真面目に働いてるまっとうな国民が収めた税金だよ」

などといった書き込みが掲示板に出ている。