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「美魔女」が職業 詐欺容疑で逮捕45歳の「セレブ」生活の実態

   「美魔女」が詐欺容疑で逮捕された。馴染みが無い人にとっては何のことかさっぱり分からないかも知れないが、この「美魔女」というのは35歳以上のまるで魔法を使ったように若く美しい女性が参加する「国民的美魔女コンテスト」のファイナリスト達を指す。

   今回逮捕されたのは2011年に開かれた第2回「スリム美魔女賞」を受賞した女。受賞後は「美魔女」として映画やテレビ、雑誌などに度々登場していた知る人ぞ知る有名人だったが、いったいこの「美魔女」という職業とはどんなものなのだろうか。

いかに自分が「美魔女」かのアピールに終始していた

   報道によれば、保育園運営会社で保育園用地の所有者に礼金を支払う業務を担当していた元社員の男が、請求書を偽造し、会社にこれを提出して礼金を会社に振り込ませていた疑いで逮捕された。その振込先が女の親族の銀行口座で、それを女が引き出し、自身が経営するアートギャラリーを兼ねたレストランの家具購入や運営費に使っていた疑いがある。現在分かっているのは650万円で、最終的には2000万円を超えると見られている。男は容疑を認めていて、女は「関わっていない」と供述しているという。

   経歴は変化に富んでいる。美術大学卒業後、ミス日本出場をきっかけに大手芸能事務所に所属して舞台女優となり、テレビドラマにも出演するようになった。女優と同時にアートの世界にも傾倒し、芸能事務所を辞めた後の03年に会社を設立してアートギャラリーを兼ねたレストランの経営を始め、デザイナーとしてオリジナルブランドも立ち上げた。10年の39歳の時に結婚し女児を生む。「国民的美魔女コンテスト」出場は11年で、その2年後の13年に離婚。14年初めに実家に今回逮捕された男と共に訪れ、結婚を前提に付き合っていることを告げている。

   そもそも「美魔女」というのは、40代読者を狙った光文社が発行するファッション誌『美STORY/美ST』の造語で、テレビでも年齢に見合わないルックスやプロポーションの女性をドッキリ企画のように取り上げ知名度が高まった。10年からは「国民的美魔女コンテスト」が始まり、翌年の第2回で「スリム美魔女賞」を受賞すると生活がガラリと変わってしまう。ブログもそれまではアートを中心とした哲学的な内容が多かったが、セレブな私生活の紹介、化粧、健康法といったものが中心となり、いかに自分が「美魔女」であるかをアピールに終始するようになる。

   なぜなら、12年から「美魔女」という仕事を始めたからだ。

「TEAM 美魔女プロジェクト」メンバーは100人以上

   「国民的美魔女コンテスト」の仕組みとして、グランプリ、準グランプリを獲得すれば国内の大手芸能事務所に所属する権利が得られるため、芸能人を目指し参加する人もいる。

   一方で、受賞できなかったからといってそれで終わりではない。ファイナリストにも別の道が残されているからだ。それはファイナリストは「TEAM 美魔女プロジェクト」メンバーになれるということだ。メンバーになればTV、ラジオ、雑誌への出演や、企業コラボによるプロモーション、商品開発などの仕事が斡旋される。

   女は12年に7人のメンバーと一緒にCDデビューしたほか、「美魔女」として数々のテレビや雑誌に登場した。しかし、これで食べていけるのかと言えばそうではないらしい。TEAM美魔女プロジェクト事務局にJ-CASTニュースが16年6月17日に取材すると、

「TEAMのメンバーは芸能人ではありません。イメージとしては読者モデルのようなもの。現在は100人以上参加しておりますが、全員に仕事が回っていくというものでもないんです」

と担当者は話していた。

   つまり、メンバーの中で目立ちたいのならセルフアピールするしかない、ということのようだ。女はシングルマザーで都内の高級マンション住まい。いつもオシャレをして高級バッグを持ち歩き、夜の街にも出かけて行く。「美魔女」としてそんな生活を維持するため詐欺に手を染めたのではないのか、そんな意見も囁かれている。