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「うんち」と「うんこ」は違うのだ そんな解説した科学館を襲った悲劇

   「うんち」と「うんこ」の違いを初めて知りました!!!―――「日本医師会が定義づけしている」という両者を区別する情報がネット上に出ると、「新しいウンチクをゲットできた!」などと歓声が上がり、ツイッターやブログではこの話題で持ちきりになった。

   情報元は新潟県立自然科学館(新潟市)。夏季イベントに合わせ同館独自でPOPを作り、トイレ内に掲示したものがそれだ。入館者が写真撮影してツイッターにアップしたものが拡散したわけだが実はこの情報、根も葉もないもので同館は後日、謝罪することになった。

  • 新潟県立自然科学館は謝罪文を掲載した(写真は同館HPのスクリーンショット)
    新潟県立自然科学館は謝罪文を掲載した(写真は同館HPのスクリーンショット)
  • 新潟県立自然科学館は謝罪文を掲載した(写真は同館HPのスクリーンショット)

「わざわざ定義してるってのがすごいわ」

   新潟県立自然科学館が2016年7月16日、トイレに「うんちく」として掲示したのはこんな内容だった。

   「うんち」と「うんこ」には違いがあって、「うんち」は肉や魚などタンパク質が消化吸収を経て排泄されたものを指し、「うんこ」は野菜や穀物のみが消化吸収を経て排泄されたもの。人間は雑食だから「うんち」を排泄している――。

   さらに、

「日本医師会によって決められているんだ」

   そう書かれていた。ネット上では新しいウンチクをゲットできたと歓喜の声が挙がり、

「スンゲェ~どうでも良いけど、メッチャ感心した!」
「知らんかったー、使い分けるようにします」
「日本医師会がわざわざ定義してるってのがすごいわ>うんちとうんこの違い」
「ざっくり言うと、肉食系はうんち野郎。草食系はうんこ野郎」

などといったつぶやきがツイッターに出て盛り上がった。しかし16年7月17日、同館は公式ホームページ上で、

「当館トイレ内での『うんちく』掲示にて、一部確証のない情報をもとに制作したものがありました」

と謝罪文を掲載することになった。

   どうしてこんな間違いが起こってしまったのか。J-CASTニュースが7月20日、同館に取材すると担当者はこう説明した。同館では夏の特別展「トイレ?行っトイレ!ボクらのうんちと地球のみらい」(7月16日~8月28日)を開催中で、盛り上げるために同館独自の「うんちく」を披露しようと考えた。それがトイレ内に掲示したPOPで、制作者はネット上にある「うんこのうんちく」というサイトの情報を信じ、参考にしてしまった。

「こんな噂もあります、という書き方にすればよかったのかもしれませんが、断定してしまった。しかもサイトには日本医師会という名前は書かれていなかったんです」

元サイトには、実在しない「医師」団体名が

   POP制作者が参考にしたというそのサイトを見てみると、

「日本医師学会が定義分けを進めているそうです」

と書かれている。「日本医師会」とは書かれていない。担当者によれば、POPの制作者は「日本医師学会」を「日本医師会」の誤植だと思い、書き換えてしまった。16日に「この情報は本当なのか?」という問い合わせが3つあり、調べてみたところ「日本医師学会」は存在しないことが分かり、「うんち」と「うんこ」の説明も確証が持てないため謝罪することにしたのだという。ネット上では謝罪について、

「うんちとうんこの違いの定義はまだ確定してないようだ」
「こんなもんにちゃんとした定義があるわけ無いじゃん」
「どうでもいい。クソみたいな話だ」
「誰も定義していないなら、新潟県立自然科学館が決めてしまえばいいのに」

などといった感想が掲示板に出ている。