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自動車免許で125ccバイク 規制緩和の動きに賛否両論

   将来、普通自動車免許があれば、排気量125ccのバイクに乗ることができるようになるかもしれない、とインターネットで話題になっている。

   現在、「原付2種」と呼ばれる125ccバイクに乗る場合、普通免許とは別に「小型自動二輪免許」が必要になる。その125ccバイクの免許取得について、全国オートバイ協同組合連合会や日本自動車工業会などは2010年から「簡便化」するよう、警察庁などに要望していた。

  • 普通自動車免許で125ccのバイクに乗れる日は近いのか… (写真はイメージ)
    普通自動車免許で125ccのバイクに乗れる日は近いのか… (写真はイメージ)
  • 普通自動車免許で125ccのバイクに乗れる日は近いのか… (写真はイメージ)

人気が高まる125ccバイク

   排気量125ccのバイクは、ここ数年人気が高まっている。

   125ccのバイクは、道路運送車両法では原付扱いだが、道路交通法では軽自動二輪扱いになるため、50cc(原付1種)のバイクにある速度制限(時速30キロメートル)がなく、クルマの流れとあわせて時速60キロメートルで走ることができる。また、交差点での「二段階右折義務」もなく、2人乗りも可能。ただ、高速道路は走ることはできない。

   さらに、維持費も50ccの原付バイクとほとんどかわらず、250ccや400ccクラスのバイクより安い。軽自動車税は年間2400円で、車検はない。自動車損害賠償責任保険への加入は必要だが、任意保険はクルマの任意保険にファミリーバイク特約を付加すれば加入できる。

   最近はオートマチック(「AT小型限定普通自動二輪免許」での運転)車両が増えて、手軽に乗れる。価格も10万円台から40万円台まで、幅広くそろう。50ccと比べてパワーが違うし、制動力も高い。実用性に富んでいることが、125ccバイクの魅力のようだ。

   現行、自動車の普通免許を持っている人が運転できるのは50cc未満(原付1種)のバイクだけ。全国オートバイ協同組合連合会によると、普通免許を取得している人が125ccの小型自動二輪の免許を追加取得しようとすると、教習所に通う費用など7万円程度かかるという。

   時間的にも、50ccの原付1種免許だけを取得する場合は運転免許センターで筆記試験を受ければ1日で取れるが、小型限定普通二輪(50cc超~125cc)免許は技能教習や検定が必要で最短でも3~4日かかる。

   全国オートバイ協同組合連合会は「自動車教習所の講習時間の短縮や実技の上限時間の緩和などの、免許を取得するのにかかる負担を軽減して、もっと簡単に免許を取得できるようにしてほしい」と、訴える。

経産省自動車課長が規制緩和に言及

   全国オートバイ協同組合連合会や日本自動車工業会などが、バイク免許の規制緩和を求める背景には、若者の「バイク離れ」がある。ここ数年、新車購入者の平均年齢が50歳を超えているとされ、バイク免許取得の簡便化やバイクがもつ危険なイメージを払しょくすることで、ライダーの若返りを目指すとともに売り上げアップを図る。

   なかでも、125ccクラスのバイクはここ数年の売れ筋で、「バイクメーカーなども免許取得の簡便化を要望しています」(全国オートバイ協同組合連合会)という。

   そうしたなか、経済産業省自動車課の川野大志課長は2016年9月17日に神戸市で開かれた「BIKE LOVE FORUM」で、「そう簡単ではないのかもしれないが、排気量125ccの免許取得を今までより簡単にするというような取り組みにチャレンジしてみたい」と話し、バイク市場を活性化する規制緩和策として、125cc(原付2種)の免許取得の簡便化について意欲をみせた。ただ、現行の50ccの原付バイクのように、 普通免許で乗れるようになるかどうかは不明。経産省は「免許取得に必要な講習をなくしたり、その質を落とすようなことはありません。安全を重視し、確保したうえで(免許を)取りやすくすることを検討しています」と説明する。

   この発言は、バイク業界の要望を後押しするものといえそうで、全国オートバイ協同組合連合会は「(自動二輪免許の規制緩和について)初めて言及されたもので、ありがたいと思っています」と話す。

   とはいえ、インターネットには賛否両論が噴出。

「昔の原付が自転車にエンジン載っけたようなもんだから、その当時の規制の名残が未だに残ってるだけなんだよ。とっとと見直せばいいのに遅いくらいでしょ」
「親のスーパーカブ乗りたいのに教習所に10万も出せねえだろ」

などと、「規制緩和」に賛成の声がみられる半面、

「ただでさえ二輪は事故が怖いんだから、簡便化はやばくねぇか?」
「すり抜けバカスク(乱暴な運転をするスクーターのこと)が増えるから、絶対反対!」
「これ、バイクメーカーが売れないから規制緩和しろと言ってるんだろ。そもそも、ほしいバイクもつくらないうえ、値段だけ高くなって売れるはずがない」

と、「事故が増える」ことを理由に反対する声も少なくない。

   日本自動車工業会によると、125ccバイク(原付2種)の出荷台数は、2014年は3万1529台で前年比13.9%と大きく増えたものの、15年には3万886台と2.0%減った。16年1~6月は1万4537台で、前年同期比4.4%減だった。

   全国オートバイ協同組合連合会は、免許の簡便化には「(道路交通法などの)法改正が必要なことや省庁間の調整が必要なので、なお時間がかかるのでないでしょうか」とみている。少なくとも1年程度で決着するようなことはないようだ。