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SNSストーカーようやく法規制 警察は取り合ってくれるのか

   ブログやツイッターなどSNS上の嫌がらせ行為をも処罰するストーカー規制法改正が今国会中に実現する見通しになった。ネット上では、一歩前進したと評価する声とともに、なお様々な課題を挙げる声が出ている。

   アイドル活動をしていた女性(21)が2016年5月、東京都小金井市内で男に20か所以上も刺され一時重体になった事件で、法で規制されないSNSの問題が浮き彫りになった。

  • SNS書き込みの被害も増えている(写真はイメージ)
    SNS書き込みの被害も増えている(写真はイメージ)
  • SNS書き込みの被害も増えている(写真はイメージ)

執拗なメッセージも処罰

   事件をきっかけに法規制を求める声がネット上でも高まり、SNS上のストーカーも取り締まる法改正案が今国会に議員立法で提出された。改正案は、11月18日の参議院本会議で全会一致で可決され、衆議院に送られた。今国会で成立する見込みだ。

   改正されれば、ブログなどで執拗にメッセージを送る行為も処罰される。さらに、ストーカー行為も厳罰化され、罰則の上限が懲役1年または罰金100万円に引き上げられる。また、被害者の告訴が不要な非親告罪になるほか、緊急の場合は事前の警告なしに禁止命令を出せるのが特徴だ。

   ようやくSNS規制が導入されることについて、ニュースのコメント欄などでは、「広くカバーできる法律に期待」「警察も動きやすくなりますね」などと評価する声は多い。

   一方で、それでも解決すべき課題はいくつもあるとの声も出ている。

   制度が整っても運用は警察次第だとして、「問題は、どこまで警察が、取り合ってくれるかです」「警察が『重大だとは思わなかった』と言ったらそれで終わり」「警察の仕事めちゃくちゃ増えそうだけど大丈夫?」との声も上がった。

   ストーカーが匿名でSNSをやっている場合の問題指摘もあり、「ネット犯罪は全般的に通信記録の開示を簡素化してほしい」との意見があった。

相談急増、今年はすでに577件

   また、SNS上のストーカー規制について、

「これって過剰なdisりも入るんですかね‥」
    「ケンカするのも嫌がらせなら議論も出来ないな」

と言論統制を懸念する声も出た。このほかにも、

「病気なんだから、罰則を強化しても減らない 再犯しないように隔離する」
    「警察も人員が限られているから、本気の予防のためには自費でボディーガードを雇うとかしないとダメかも」
    「恋愛ってストーカー要素含んでると思うの また少子化が進むな」

などと様々な書き込みが見られる。

   引きこもりの人らへの支援活動をしている「全国webカウンセリング協議会」によると、SNS上のストーカーなどの相談件数は、3年前に97件と急増してから伸び続け、16年1~10月はすでに577件と過去最多となっている。10代の中高生が被害に遭うケースも多いという。

   新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(社会心理学)は、ヤフー・ニュースへの11月17日の投稿記事で、「SNSに関しては、ようやく法律が追いつこうとしている」と法改正を評価した。そのうえで、「厳罰によって減る犯罪と、厳罰化だけではなかなか減らない犯罪がある」として、「そのような時は、カウンセリング的な対応が効果を上げることもある。第三者が、ストーカー側の意見をきちんと聞き、共感的に接し、納得させることで、ストーカー行為が止まることも多い」としている。