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訪日韓国人観光客、3月は過去最多 日韓冷え込み関係なし

   日本を訪れる韓国人観光客が増えている。2017年3月は、前年同月比で3割増となり、3月としては過去最多となった。

   こうした傾向について、韓国メディアの中には「両国の関係は冷え込んでいるのに...」と驚きをもって報じるメディアもある。

  • 日本を訪れる韓国人は増えている(画像はイメージ)
    日本を訪れる韓国人は増えている(画像はイメージ)
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聯合ニュース「韓日関係と旅行は別?」

   日本政府観光局が17年4月19日に発表した訪日外国人数(推計値)によると、3月は前年同月比9.8%増の220万5700人だった。うち、韓国からの観光客は48万8400人と3月としては過去最多となり、前年同月比でも30.6%増と急増。最多の中国(50万9000人、同2.2%増)に迫る数字となった。

   この発表を受け、韓国の聯合ニュース(日本語ネット版、20日)は、「韓日関係と旅行は別? 訪日韓国人観光客が先月30%増」の見出しで報じた。中央日報(同、21日)も見出しで「冷え込む韓日関係にも...訪日韓国人観光客は急増」とうたった。

   聯合ニュース記事では、昨今の「韓日関係」について、釜山の日本領事館前に「旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像」が設置されたことを受け、日本政府が駐韓日本大使を一時帰国したことを指摘。4月4日になって大使が帰任したことにも触れつつ、「また、日本の政治家による挑発的な発言が相次いでいるほか、学校教育の現場では歴史を否定するような動きがみられる」と書いている。

   同記事では明記していないが、「学校教育の現場」に関する記述は、一連の森友学園騒動の中で注目を集めた「教育勅語」について、安倍内閣が3月末、「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」との答弁書を閣議決定したことなどを念頭に置いているようだ。

   一方、中央日報記事では、冒頭に「韓日関係は冷え込んだままだが」と触れている程度で、具体例は挙げていない。

韓国を訪れる日本人観光客も増えている

   今回の観光局発表について、日本メディアでは例えば時事通信(4月19日)は、「16年度訪日客2482万人 最高更新、アジア中心に増加」(ネット版見出し)と、16年度全体の数字に焦点を当てて報じている。記事本文では、3月の韓国からの旅行者が3割増となり、同月として過去最高になった事にも触れている。

   韓国からの旅行客急増について、観光局では、LCC(格安航空会社)を中心とした増便の影響や、SNSを使った九州地方の魅力を訴える訪日旅行プロモーションが訪日需要を押し上げた、と分析している。

   こうした傾向は3月に限ったことではない。2016年通年の数字でも、韓国からの旅行客は対前年比27.2%増の約509万人。17年に入ってからも、1月は前年同月比で21.5%増、2月も同22.2%増と増えている。

   では、日本からの韓国への旅行客の動向はどうか。韓国観光公社の発表によると、2012年をピークに13年から15年までは減少傾向が続いていたが、16年は一転、前年比23.4%増の約229万8000人となった。17年3月の数字を見ても、前年同月比22.4%増の約27万4000人で、16年6月以降、10か月連続で前年同月比プラスとなっている。

   好調な推移を受け、韓国観光公社は17年4月12日、当初「250万人」としていた日本人観光客の年間誘致目標を「300万人」に増やすことを明らかにした。20代から30代の女性個人客をターゲットに、高級スパや漢方スキンケアなどの観光商品を開発し、旅行客増を目指すという。