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紗倉まなが苦しんだ「腎盂腎炎」 細菌が尿道、膀胱を逆行して腎臓まで

    AV女優で作家としての活動も知られる紗倉まなさん(24)が、2017年5月4日に自身のツイッターで「腎盂(じんう)腎炎」に感染したと報告した。

   その後、ゴールデンウィーク中に予定していたイベント出演などをキャンセル。5月8日には退院したとツイートし、「二日間自宅療養しまして、またお仕事復帰したいと思います」としている。聞きなれない腎盂腎炎、どのような病気なのか。

  • 女性は特に突然の高熱に要注意を
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女性が多く発症、突然の高熱

    日本医師会のウェブサイトに掲載されている「病気の知識」によると、「腎盂腎炎」は腎臓の内部で尿を集める「腎杯」という管や中心にある「腎盂」「髄質」という部位が細菌によって炎症を起こしている状態だ。片方の腎臓だけ、あるいは両方とも感染することもある。特定の細菌が原因となるわけではない。「MSDマニュアル家庭版」では大腸菌やブドウ球菌が多く、まれに結核菌やウイルスも原因になると書かれていた。

   細菌が尿道を経て膀胱まで広がり、さらに尿管を逆行して腎臓へと達することで感染してしまう。通常、健康な人は尿の流れによって微生物が洗い流されており、仮に細菌が侵入しても腎臓への到達は防止される。しかし、尿道や尿管の構造上の異常、腎臓結石など、尿の流れを妨げる物理的な要因がある場合や、尿の逆流があると細菌感染リスクが高まり、腎盂腎炎にもなりやすくなってしまう。また、糖尿病やがん治療中、エイズ患者など免疫機能が低下している人も高リスクとなる。

   MSDマニュアルでは、妊娠中に尿管が圧迫され尿が逆流する可能性が高く、肛門と尿道の位置が近いといった理由から女性に多く発生するとしており、「男性では腎盂腎炎はめったに起きない」と書かれている。子どもや高齢者は症状が現れにくく、見過ごされたり、悪化して血流の感染症を発症してしまう場合もある。

   突然発症することが多く、悪寒や38度以上の発熱、腰の痛み、吐き気などが最初の症状となる。紗倉さんも5月3日のツイートでイベント会場に移動中、急に39.8度の高熱となり動けなくなったと書き込んでいる。その前日から発熱があり、風邪かと考え風邪薬でしのごうとしていたが悪寒がひどくなり、高熱が出たという。4日には腎盂腎炎と診断され入院となったようだ。

抗生物質で大半は全快

   治療法は明確だ。細菌による感染症なので抗生物質を投与することでほとんどの人が完全に回復する。症状が軽い場合、外来治療ですむこともあるようだ。一般的には入院して抗生物質の点滴が1~2日間行われたあと、内服薬に切り替える。

   ただし、腎臓や尿路などに構造上の異常があり塞がっている人や結石がある人は、まず手術によってこれらを取り除く必要がある。こうした異常の有無を確認するためCT検査を行うこともあり、紗倉さんも5月5日のツイートで、

「CT検査とレントゲンもとってきました」

   と明かしている。また、腎臓の炎症が激しく「肉芽腫」という腫瘍ができている場合、感染している腎臓は摘出するケースもあるようだ。

   ワクチンや、健康な状態での予防法は特にない。MSDマニュアルには、頻繁に繰り返す人や一度抗生物質で治療をしたが再発した人は、少量の抗生物質を毎日服用する予防的な治療が行われる場合があると書かれている。