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うつ傾向のある人、医師に相談は1割 シオノギ製薬調査

   塩野義製薬は、うつ傾向のある人の意識と行動の実態を把握するための調査を実施し、このほどその結果を明らかにした。

    それによると、精神的・身体的不調で医師に相談意向があるものの、実際に相談した人は約1割であることなどが分かった。

身近なかかりつけ医に相談した人は約1割

   調査は2016年2月に、全国の20~60歳の男女計1万9975人を対象にした「事前調査」と、同調査で「うつ傾向あり」かつ「うつ病の診断なし(及び最近専門医に受診していない)」に該当した2028人を対象にした「本調査」で構成。塩野義製薬は17年5月17日にその結果を発表した。

   「事前調査」で「『うつ病/うつ状態』の診断・治療」の有無をたずねたところ「診断されている」と答えた人は8.1%だったが、「うつ傾向がある」人のうち、43.6%は受診しており診療機関との接点は少なくないことが示唆された。

   うつ傾向のある人がかかえる不調として、「物事を悪い方向に考えてしまう」「いつもなら楽しいことが気がすすまなくやる気が出ない」といった精神的不調や、「疲労倦怠感」「肩の痛み」「睡眠障害」「頭痛・頭重感」といった身体的不調が多くみられた。

   「うつ傾向あり」かつ「うつ病の診断なし」という「うつ未診断者」を対象にした「本調査」では、約半数が身近なかかりつけの内科医がいると回答したが、「専門外のことでも相談できる」と回答した人は22.4%にとどまった。精神的・身体的不調について相談したくとも実際に相談した人は約1割であることが明らかになった。

   厚生労働省の「平成26年(2014年)患者調査」によると、うつ病の患者数は約73万人と推計される。また、13年10月1日発行の日本医師会雑誌に掲載された「神経・精神疾患 診療マニュアル」では、潜在的な患者が230万人存在するとしている。

    調査の監修医、藤田保健衛生大学医学部の内藤宏教授(精神神経科学講座)は、「うつ病は、だれでもかかる可能性のある病気です。精神的・身体的な不調を感じたら、まずは身近なかかりつけ医などにしっかりと伝えることが重要」としている。