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済州はなぜ浦和にキレたのか 韓国も「恥ずべき暴動」と報道

   韓国・済州(チェジュ)ユナイテッドと浦和レッズの試合で前代未聞の暴力沙汰が起きた。

   済州の選手が試合中に浦和の選手に飛びかかってエルボーを見舞い、試合終了後にも複数人で追い回す――。「済州の行動は常軌を逸してる」といった声がインターネット上で続出した。日本に限らず、韓国メディアでも「恥ずべき暴動」と済州を批判的に報じている。

  • 浦和対済州戦は埼玉スタジアムで行われた(写真は試合当日のものではありません)
    浦和対済州戦は埼玉スタジアムで行われた(写真は試合当日のものではありません)
  • 浦和対済州戦は埼玉スタジアムで行われた(写真は試合当日のものではありません)

ベンチの選手が試合中に乱入し、肘打ち

   浦和と済州は2017年5月31日、AFC(アジアサッカー連盟)チャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント1回戦第2試合を埼玉スタジアムで戦った。勝敗は2戦合計スコアで決める。第1試合で0-2とリードを許していた浦和だが、この日90分間で2点を取って合計2-2とし、延長戦にもつれ込んだ。浦和は延長後半9分にDF森脇良太がゴールして逆転。残り6分あまりの時間が過ぎれば勝利をつかめる状況になった。

   浦和は時間を稼ごうと、定石どおりCKをコーナーフラッグ付近でキープすると、済州の選手をブロックした際にファウルを取られて済州ボールに。最初のハプニングはここで起きた。浦和FWズラタンと済州MFクォン・スンヒョンの目が合ったかと思うと、クォンがズラタンに歩み寄り、頭突きのような動きで衝突した。そこにFW興梠慎三やMF阿部勇樹、MF柏木陽介らが駆け寄り、済州の選手も8人ほど集まってきて小競り合いが始まった。

   再開されずにいる中、ビブスを着た済州ベンチのDFペク・ドンギュが全速力で走ってきたかと思うと、そのまま勢いよく阿部に飛び込みながら肘打ちした。阿部は倒れ込み、興梠が駆け寄った。ペクを済州FWフレデリック・メンディ(ギニアビサウ代表)が押さえつける。反対側のタッチラインにいた副審も来て審判・スタッフが場を収めようとした。ペクにはベンチ入り選手ながらレッドカードが提示され、ペクは右手を振りあげて不満気に歩き去った。

済州・チョ監督「勝者のマナーも必要」

   いったん場が落ち着いて選手は配置に戻った。再開前に主審は副審と話し合い、クォンとズラタン、MF武藤雄樹にもイエローカードが提示された。再開後すぐに試合終了、浦和サイドは歓喜に包まれたが、一方でベンチも含めて両チーム40~50人がピッチに入り乱れ、再び騒ぎが始まった。

   特にDF槙野智章は、済州DFクォン・ハンジンら3人ほどに追いかけ回された。槙野は逃げながら慌ててロッカールームに引き上げ、済州の選手らはピッチサイドへの入退場口でスタッフや警備に阻まれた。クォン・ハンジンには試合後にもかかわらずレッドカードが提示された。ピッチ上では他に、済州の選手が巻いていたテーピングをはがしてピッチ上に投げ捨て、それをGK西川周作が拾う場面も見られた。

   6月1日付の韓国メディア「中央日報(日本語版)」によると、済州の趙星桓(チョ・ソンファン)監督は試合後、「(済州側が)フェアプレーに反した行動をしたことに対しては申し訳ない」としながら「敗者のマナーも必要だが、勝者のマナーも必要だ」と述べている。さらに衝突の原因については「正確なことを把握する必要がある。一方的な事故ではないと思う。相互のアクションと言葉があったため衝突が起きた。そのまま終わることもできたが、浦和の選手が済州のベンチ側を向いて勝利のセレモニーをしながら刺激をした」と浦和にも責任があると取れる主張をした。

浦和・ペトロヴィッチ監督「しこりが残ることは好きではありません」

   一方、1日付サッカーメディア「ゲキサカ」によると、槙野は森脇の決勝点でガッツポーズし、済州サイドの怒りを買ったとの見方もあるようだが、「そりゃガッツポーズするでしょう。みんなでガッツポーズしたから、それが気にさわったんじゃないですか」と槙野。済州でなく浦和サポーターに向かって喜びを表現したのだという。

   浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は試合後の会見で「済州の選手は若い選手が多く、悔しさの中で感情的になることは十分に理解できます。この試合が終わった後で、しこりが残ることは好きではありません。今後、フレンドリーマッチでもやることで良い関係を築いていければと思っています」との考えを示している。

   一連の混乱について日本のスポーツ紙やサッカーメディアは一斉に報道し、見出しに「最悪な後味」「地獄絵図」「驚愕の蛮行」などの言葉が並んだ。さらには韓国メディアの京郷新聞も「恥ずべき暴動」と報じている。1日付NHK記事によると、主催のAFCは、映像などから乱闘に至った経緯を確認し、関係者の処分を検討するという。