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豊田議員「この、ハゲェーー!」はヘイト 薄毛に悩む人々「報道もう止めて!」

   「この、ハゲェーーーーーーっ!」。豊田真由子衆院議員(42)が男性秘書に浴びせたとされる暴言がニュース番組などで繰り返し放送されたことに、薄毛に悩む男性が精神的なダメージを受けているようだ。

   実際、ツイッターやネット掲示板には、「もう聞きたくない」「勘弁して...」と嘆く声が相次いでいる。さらに、薄毛の学生が集まる早稲田大学の非公認サークルは、豊田議員の「ハゲ」発言に対する抗議声明をツイッターで発表。現職議員による「衝撃発言」が、思わぬ形で波紋を広げている。

  • 「このハゲェーー!」発言の影響力(画像はイメージです)
    「このハゲェーー!」発言の影響力(画像はイメージです)
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繰り返し流される「絶叫報道」

   豊田議員の男性秘書への暴言・暴行を報じたのは、2017年6月22日発売(首都圏など)の「週刊新潮」だ。元秘書の男性(55)の告発をもとにした記事で、同誌のウェブ版にはこの男性が録音したという音声データの一部が公開されている。

   5月20日夜に録音されたというこの音声データには、豊田議員とみられる女性が、

「この、ハゲェーーーーーーっ!ちーがーうだろぉーーーー!」

などと絶叫する様子がおさめられている。なお、豊田議員は今回の報道を受け、6月22日夕、所属していた自民党に離党届を提出したと報じられている。

   こうした「絶叫音声」は、週刊新潮が発売された22日以降、各局ワイドショーやニュース番組で繰り返し放送された。これにうんざりしている様子なのが、薄毛に悩む男性たちだ。実際、ツイッターやネット掲示板には、今回の「ハゲ」発言がテレビで何度も取り上げられることに対し、

「昨日から豊田真由子の『このハゲ~ッ!』という罵声を昼となく夜となくテレビから浴びせられてアタマにきてる!もういい加減報道を止めてくれないか?」
    「TVから『このハゲ~!』と聞こえてくると、何だかなぁ。 後頭部薄くなってきたし...」
    「ハゲ~!をテレビで連呼されると少し傷つく」
    「テレビから『このハゲーーーーー!!!!!』って聞こえてくるようになった。ビクッ!!!!!てするからやめて」

といった声が相次いで上がっている。

早大サークル「これはある種のヘイトスピーチ」

   薄毛の学生が集まって結成したという早稲田大学の非公認サークル「早大増門会」は22日未明、「豊田真由子議員の発言に対する抗議声明」と題した文書をツイッターで公開した。

   同サークルは16年4月に創立。17年6月現在、22人の現役大学生が所属しており、通常は「育毛研究や発毛研究、ハゲの人権回復運動」などの活動をしているという。今回の声明では豊田氏の発言について、

「全国の薄毛や抜け毛に悩む、いわゆるハゲと呼ばれる方々の実情と心証を全く無視した発言であり、彼らは深い悲しみと憤りを憶えたに違いありません。これはある種のヘイトスピーチであり、豊田真由子衆院議員は国民の代表たる政治家としての資質に著しく欠如していると言わざるを得ません」

と厳しく非難。その上で、(1)豊田議員の謝罪と発言の撤回、議員辞職(2)各政党における再発防止策の徹底(3)薄毛への差別撤廃などのための早急な法整備――の3点を要求している。

   いったいなぜ、こうした声明を発表したのか。同サークルの広報担当者はJ-CASTニュースの取材に、

「第一報を確認した会員から『これはハゲを侮辱しているのではないか』と通報がありました。それを受けて会内で協議を行い、政治家という身分の者が差別的発言を行なったという事態の重要性を再確認しました。そして何かしらの意思表示を会として行うべきと一致した次第です」

と説明する。続けて、「このハゲ」という発言を耳にした際の心境について、担当者は、

「率直に言って驚きました。私たちもハゲと罵倒されることはよくありますし、慣れていますが、あそこまでの絶叫は見たことがありません。ハゲを侮辱していることへの怒りが湧いてきたのは、その後でした」

と振り返る。その上で、

「今回と同じようなケースは皆様の日常生活にも潜んでいます。軽いノリで言った発言が、相手を傷つけているかもしれません。今回のことを他人事と思わず、ご自身の生活を振り返る良い機会として貰いたいです」

とも呼び掛けた。

「はげます会」幹事長「その程度の人間だということです」

   一部の男性の悲しみの声に共感するのが、頭髪の薄い男性が集まる青森県鶴田町の「ツル多はげます会」の成田晃生(あきお)幹事長(81)だ。同会は「禿げの光は 平和の光 暗い世の中 明るく照らす」をモットーに、「ハゲ頭」をネタにした町おこし活動を行う団体だ。

   20代前半から頭髪が薄くなってきたという同会幹事長の成田さんは、6月23日のJ-CASTニュースの取材に、

「ちょっとあの発言は酷いですよね。私はもう高齢なので、そこまで怒りの感情は湧きませんが、もし若い頃に言われていたら『何だコノヤロー』とかなり憤っていたと思います。今はハゲ頭をネタにできるようになったのですが、何だかんだ言って薄毛は大きなコンプレックスでしたから」

と話す。その上で、豊田議員の発言にショックを受けている人が出ていることについては、

「あのような言葉を発するということは、その程度の人間だということです。いくら学識がある国会議員といっても、それは変わりません。皆さんもあまり気にしないで欲しいですね」

と励ましの言葉を送っていた。