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フジ「とくダネ!」が「事実確認せず放送」を謝罪 京都府議員を「ストーカー登録」扱い

   フジテレビ系情報番組「とくダネ!」が2017年8月28日、京都府議会の荒巻隆三議員が妻に怪我を負わせたとし告訴された問題で、荒巻議員が警察に「ストーカー登録されている」などと報じたことについて、29日の番組内で「事実の確認が取れないまま報道した」として謝罪した。

   「とくダネ!」の取材に応じた荒巻議員側の弁護士は、J-CASTニュースの取材に対して、「事実関係を丁寧に説明したにもかかわらず、ありもしない内容になるのは信じられない」と憤っている。

  • ただの夫婦喧嘩だった? (写真はイメージ)
    ただの夫婦喧嘩だった? (写真はイメージ)
  • ただの夫婦喧嘩だった? (写真はイメージ)

番組内で「いずれも事実が確認されていない報道でした」

   「とくダネ!」の笠井信輔アナウンサーは29日の番組内で、

「京都府議会議員の荒巻隆三氏に関しまして、書類送検された、ストーカー登録されたと放送しましたが、いずれも事実が確認されていない報道でした」

と謝罪した。

   どんな番組内容だったかといえば、荒巻議員が5月、京都市内の駐車場で妻(31)の手を引っ張るなどして転倒させ、けがを負わせたため妻が告訴した、というもの。既に書類送検されていて、起訴か不起訴かは今後判断が下される、とした。荒巻議員サイドの主張は、妻には暴行を加えておらず、こちらに向かってくる妻が駐車場で勝手に転んだのは見た、と紹介した。そして、荒巻議員は議員としての信頼が厚く、精力的に活動しているものとは「別の顏」がある、とし、妻にDVを振るうのは日常茶飯事で、妻は警察に何度も相談したことで「ストーカー登録された」と説明した。荒巻議員サイドはDVどころか妻には手を上げたことは一度もない、と主張していることを紹介した。

   どうして「とくダネ!」は謝罪しなければならないことになったのか。J-CASTニュースが8月29日に荒巻議員サイドの小野誠之弁護士に取材したところ、ことの発端は8月23日の地元紙、京都新聞の報道だったという。荒巻議員を妻が告訴をしたというもので、

「京都府警下京署が23日にも、傷害の疑いで、荒巻隆三・京都府議(44)を書類送検する方針を固めた」

と書いた。そのため、小野弁護士の元に取材が殺到した。小野弁護士は「書類送検はない」と説明し、ここに至る経緯を説明したところ「これはニュースにならない」と大方の記者が判断したという。結果的に小野弁護士の見立て通りになったそうだ。ではどんな「事件」だったのか。

不仲は地元では有名な話

   2人が結婚したのは14年6月。妻は全日本着物女王で、ミス日本の関西代表、京都の観光おもてなし大使、かつて日本テレビ系トーク番組「恋のから騒ぎ」の特別番組にも出演したことがあると伝えられている。一方の荒巻議員は30歳で衆議院議員に当選。活動の場を京都府に移し、現在は3選目。元京都府知事、荒巻禎一氏の三男だ。当時は「セレブ婚」と騒がれた。

   ところが、結婚後間もなく2人は不仲になる。小野弁護士によれば2人共に離婚に前向きなのだが、妻が離婚に当たって莫大な慰謝料を要求してきたため、それを拒んだところ、変な雲行きになった。妻はDVがあったと何度も警察に通報した。2人の不仲は地元では有名な話で、警察もそれをよく知っていて、通報があるたび「またか」という反応だという。告訴の動きはあったがメディアは動かないと思っていたところ、京都新聞が「書類送検する方針を固めた」と書いてしまった。小野弁護士はこれを京都新聞のフライングだとし、取材に来たメディアに対し説明を行い、各社は「ニュースにならない」と判断したようだが、なぜか「とくダネ!」は特集を組んでしまった。

「番組を見ましたところ、間違いである書類送検と、ストーカー登録の部分を無くしたとしたら、あれにニュース価値は無いですよね。『とくダネ!』は何かしら視聴者を引き付けるフックになるものが欲しかったのではないでしょうか?」

と小野弁護士は話している。