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一度使ったジッパー付ポリ袋は危険 「食べ物保存に再利用」が食中毒招く

   ジッパー付のポリ袋は、食品の保存用に重宝される。手で「パチッ」と留めれば、簡単に密閉状態がつくれる。

   1度使っただけならジッパー部分は壊れないし、袋も丈夫なので再利用したくなるかもしれない。だが衛生面を考えて避けた方がよいというのが、専門家の考えだ。

  • 台所には欠かせないアイテム、ジッパー付のポリ袋(写真はイメージ)
    台所には欠かせないアイテム、ジッパー付のポリ袋(写真はイメージ)
  • 台所には欠かせないアイテム、ジッパー付のポリ袋(写真はイメージ)

洗剤で洗い3回すすいでもサルモネラ菌検出

   インターネット上の質問投稿サイトには、ジッパー付ポリ袋の再利用に関する問い合わせが複数見つかった。回答は「洗って使う」「肉や魚介類を入れた場合は使い捨て、野菜なら再度使う」「衛生上、1度使ったら捨てる」と人それぞれだ。再利用法も、何度も食品を入れる、2度目はゴミ袋にする、と意見はまちまちだった。

   旭化成ホームプロダクツは、同社商品「ジップロック」のウェブサイトで、「食品を入れる場合は衛生上使い捨てをお勧めしています」と明記している。

   2017年10月10日放送の「あさイチ」(NHK)では、麻布大学食品安全科学研究室での検証実験の様子を流した。「肉に下味をつける」作業を再現し、ジッパー付ポリ袋に鶏肉と酒、しょうゆを入れてよく揉み、30分以上置いてから中身を取り出した。それから袋に水と洗剤を入れ、ジッパーを閉めてから袋を振って洗い、水で3回すすいだ。丁寧に洗ったように見えたが2日後、袋を検査したところ食中毒の原因菌として知られる「サルモネラ」が検出された。

   東京都福祉保健局のサイトによると「サルモネラ属菌」は、卵(加工品を含む)、牛肉のレバ刺し、食肉調理品(特に鶏肉)、うなぎやスッポンが汚染の原因となりやすいとある。感染すると腹痛や下痢、おう吐、発熱の症状が見られる。

   実験では、袋をしっかり洗浄したようでもサルモネラが残っていたことになる。番組で、麻布大の小西良子教授は「食べ物の二度使いはやめた方がいい」と警鐘を鳴らした。

加熱しても冷凍しても死滅しない菌がある

   では、生肉でなければどうだろう。小西教授は、加熱しても毒素が消えない菌があるため、調理した食べ物を1度袋に入れたら、別の食品保存のための再利用はやめた方がよいとの見解を示した。

   野菜も、絶対に安全とは言えない。東京都福祉保健局は、「その衛生状態によっては、食中毒の原因となることもあります」と注意喚起している。都が2009年7月~11年10月、大田市場内に流通する生で食べられる野菜237検体を調べたところ、全体の11%にあたる27検体から食中毒起因菌が検出された。感染するとおう吐や下痢を引き起こす「セレウス菌」が最も多く、大腸菌や黄色ブドウ球菌も見つかった。

   こうした菌は、野菜の「水洗いで減らすことができる」というが、完全駆除は難しいだろう。野菜を保存したジッパー付ポリ袋でも、二度使いはリスクを伴うといえる。

   さらに、サルモネラをはじめとする食中毒起因菌は、冷凍しても死滅しない。冷凍肉の保存に袋を用い、肉を調理しようと解凍した際に「冬眠状態」だった菌が目覚めて袋に付着する可能性も考えられる。

   厚生労働省が公表している「食中毒統計資料」で、2016年の月別発生状況を見ると、件数が最も多かったのは12月の115件、次いで3月の112件となるが、10月も97件と決して少なくない。1度使ったジッパー付ポリ袋、「捨てるのはもったいない」と思っても、洗ってまた食べ物を保存するのは避けよう。