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ダルビッシュVS大リーグ幹部 WSでボール変更「ある」「いや、ない」

   米大リーグ・ワールドシリーズ(WS)で熱戦を繰り広げる両チームの選手から、「ボールへの違和感」を訴える声が上がっている。

   WS第3戦で先発するも、2回途中4失点でKOされたドジャースのダルビッシュ有(31)は、「ここにきてガラッと変わっちゃうとか本当にあり得ない」とツイッターで苦言。続けて、「試合中もおかしいと思ってました」とも打ち明けた。

  • ダルビッシュ投手(イラストはレンジャーズ時代)
    ダルビッシュ投手(イラストはレンジャーズ時代)
  • ダルビッシュ投手(イラストはレンジャーズ時代)

ホームラン数は史上最多に

   今回のWSは2017年10月31日(日本時間、以下同)までに5戦を消化。アストロズが3勝を挙げ、球団史上初の大リーグ制覇に王手をかけている。

   熱戦が続く今シリーズで注目を集めているのが、ホームランの多さだ。5試合時点で両軍あわせて22本を放っており、WSでの最多ホームラン記録を更新している。これまでの記録は、バリー・ボンズ擁するジャイアンツとエンゼルスが対戦した2002年シリーズの21本。このとき両軍は全7試合を戦った。

   今シリーズで特に印象的だったのが第5戦だ。ドジャースはカーショウ(シーズン防御率2.31)、アストロズはカイケル(同2.90)と両軍がエースを先発させたにも関わらず、試合は壮絶な乱打戦に。両軍あわせて8本のホームランが飛び出したこの試合は、13-12でアストロズが制した。

   この試合で、カイケルは4回途中4失点でKO、カーショウも5回途中6失点でKO。リリーフで登板したドジャースの前田健太も逆転ホームランを浴びるなど、これまで安定した投球を見せてきた両軍のピッチャー陣が次々と打ち込まれた。

   こうしたシリーズの中で、両軍のピッチャーからボールに「違和感」を示す声が出ている。第6戦の先発が予定されているバーランダーが、10月30日の記者会見で、

「最も不満なのは、公式戦やポストシーズンとワールドシリーズでボールが違っているように感じること。ちょっと滑るんだ。これは1人の投手が言っていることではない。皆が『おかしいぞ』と言っているんだ」(編集部訳)

と訴えたのだ。

「スライダーは難しい」

   米スポーツ専門誌「スポーツ・イラストレイテッド」(ウェブ版)が30日に配信した記事では、複数の選手やチーム関係者のコメントを紹介。ドジャースのリック・ハニカット投手コーチは、

「ダルビッシュが違いに気づいたんだ。彼はボールが滑りやすく、そのためスライダーが投げにくいと報告した。実際、彼はいつものスライダーを投げられなかったんだ」

と説明。アストロズのブレント・ストロム投手コーチも「誰でも違いがわかるはずだ。全くもって理解できないね」とこぼしたという。

   また、ダルビッシュ本人も31日に更新したツイッターで、「昨日ブルペンでワールドシリーズのボールを使って投げましたがやはりスライダーは難しいですね」。その上で、

「ここにきてガラッと変わっちゃうとか本当にあり得ないです」

と訴えた。続く投稿では、今年のシリーズでWSの本塁打記録が更新されたことを伝えるニュース記事を紹介しながら、

「CSまでレギュラーシーズンと同じボールなのにワールドシリーズでガラッと変えちゃうとこうなるってわからないのかな?」

と指摘。また、第3戦の先発時には「おかしい」と気づいていたが、問題が明らかになるまでは発言を控えていたことも明かしている。

MLB側は疑惑を否定「同じ基準」

   一方、MLB(メジャーリーグ)シニア・バイス・プレジデントのピーター・ウッドフォーク氏は、先述のスポーツ・イラストレイテッド記事の中で「ボール変更疑惑」に反論している。

   ウッドフォーク氏は同誌の取材に、WSで使われるボールは製造時にテストされており、レギュラーシーズンのボールと同じ基準になっている、と説明。その上で、「違うのはボールに(ワールドシリーズ用の)金色のスタンプがあるくらいだ」とも話したという。

   実際、すべての投手がボールに違和感を抱いているわけではない。第6戦での先発が予定されているドジャースのリッチ・ヒルは30日の会見で、

「ボールはプレーオフでもワールドシリーズの試合でも、非常に一貫していると思う」

とコメント。ボールの縫い目やサイズに変化は見られなかった、とも付け加えていた。