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「パパ、愛してるよ!」男性は絶叫した 噴石降り注ぐゴンドラで...提供動画に戦慄

   2018年1月23日に起きた草津白根山(群馬県)の噴火直後、近くにある草津国際スキー場のロープウェーが止まった。無数の噴石がゲレンデへ降り注ぐ中、複数のスキー客が宙吊りのゴンドラに一時閉じ込められた。

   停止したゴンドラの乗客の1人が、運転が再開するまでの緊迫した状況を動画で撮影していた。この動画には、身動きが取れない状況の中で、救助を待つ男性が「絶対に助けてください!」と必死に助けを求める姿がおさめられている。複数のテレビが紹介したこの動画には、視聴者からも大きな反響が寄せられた。

  • ライブカメラにおさめられた噴火の瞬間。噴石が落ちてくる様子が確認できる(草津温泉観光協会のYouTubeより)
    ライブカメラにおさめられた噴火の瞬間。噴石が落ちてくる様子が確認できる(草津温泉観光協会のYouTubeより)
  • ライブカメラにおさめられた噴火の瞬間。噴石が落ちてくる様子が確認できる(草津温泉観光協会のYouTubeより)

ゴンドラは約10分間「宙吊り」に

   噴火は23日朝10時頃発生。各社の報道によれば、降り注いだ噴石により付近で訓練していた自衛隊員の男性1人が死亡。他の隊員やスキー客10人以上が重軽傷を負った。気象庁は発生から約1時間後に、草津白根山の噴火警戒レベルを「入山規制」を示すレベル3に引き上げている。

   噴火が起きた直後には、火口の近くを通るスキー場のロープウェーが一時停止。噴火に伴う停電によるもので、予備電源で運転を再開するまでの約10分間、宙吊りのゴンドラの中に複数の乗客が閉じ込められた。

   草津白根山の噴火を伝えた各社のニュース番組では、停止したゴンドラ内部の様子を撮影した緊迫の映像が繰り返し放送された。ゴンドラに乗っていたスキー客の1人が撮影したもので、救助後に報道各社に動画を提供していた。

   このゴンドラにいたのは、28歳の男性とその妻、カメラを回していた男性の兄の3人。動画ではまず、焦った様子の弟が無線で「白根が噴火しました。僕ロープウェーで今、間近で見てます!」と報告。無線の相手が「今どこにいますか?」と尋ねると、カメラを持った兄が、

「僕らゴンドラの中にいます、中に乗っています。早く助けに来てくれないと!」

と捲くし立てる。続けざまに弟は「絶対に助けてください!僕たち皆、家族なんで!」と絶叫。無線の相手が「(そのまま)待てますか?」と落ち着いた声色で聞くと、

「待てますけど...、石が飛んで来たり色々大変な状況なので、もうすごく怖いです...!」

と祈るような調子で弟が答えていた。

「パパ、愛してるよ!ありがとう!」

   その後、一向に動かないゴンドラの中で弟は父親に電話をかける。弟は「パパ!今白根にいるんだけど、白根が噴火して僕らゴンドラに取り残されちゃってる」「真っ黒な灰になっちゃって大変なことになってる」などと動揺しながらも父親に状況を報告。その上で、心配する父親に対し、

「パパ、愛してるよ!ありがとう!」

と思いの丈を大声で伝えて電話を切った。

   そのほか、この動画の中には「だめだ 俺震えてる」「俺たち、本当に大丈夫だよね?」などと恐怖を口にする弟を、兄が「大丈夫だよ」と励ますシーンもあった。

   結果として、約10分後にロープウェーの運行は再開。宙吊りのゴンドラに閉じ込められた乗客は、到着した駅で救助された。23日の「NEWS ZERO」(日テレ系)では、カメラを回していた兄が救助後に記者の質問に応じる場面を放送。その中で兄は、

「ここ(編注・ゴンドラの中)から脱出したいっていうか、逃げたいと思った。でもどうしようもなかった。死ぬかと思った」

と救助を待っていた際の心境を振り返っていた。

   また、同日の「NEWS 23」(TBS系)では、恐怖のためか父親に電話をしていた弟に話を聞くシーンを放送。救助後に取材に応じた弟は、「時間の感覚がなくて、恐怖心が強かった」とした上で、

「(家族とは)良かったねという話をしました。あと、毎日を一生懸命生きようと。何が起こるか分かんないって」

と話していた。

   宙吊りのゴンドラ内部の一部始終をおさめた映像について、インターネット上では、「無事で本当に良かった」「緊迫感ありすぎるし見るたび怖い」といった反応が出ている。そのほか、

「最後に『パパ愛してるよ』って言ったのを聞いて死を覚悟したんだと思い恐怖を感じた。この青年が無事で良かった」

といった書き込みもみられた。