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食品容器の進化がすごい! 「フードロス減」へ期待

   まだ食べられる食品を捨ててしまう「フードロス」の削減対策として、食品メーカーが商品の容器包装に関わるさまざまな取り組みを強化している。パッケージの機能を高めるなどして、賞味期限を延長させたり、鮮度をより長く保たせたりするもので、食品ロス削減への効果が期待されている。

   農林水産省などの推計によると、2014年度に日本国内で発生した食べ残しなどのフードロスは621万トンにも上った。その量は世界の国際機関が開発途上国に援助する食糧全体の約2倍にも相当するという。国連の持続可能な開発サミットでは、30年までにフードロスを半減させることが決議されたほか、20年の東京五輪・パラリンピック開催で国際的な注目が集まっており、フードロスの削減は日本の大きな課題となっている。

  • 容器を工夫しフードロス減へ(画像はイメージ)
    容器を工夫しフードロス減へ(画像はイメージ)
  • 容器を工夫しフードロス減へ(画像はイメージ)

賞味期限の延長

   そんな中、食品メーカーの対策として注目されるのが容器包装に関する技術革新だ。フードロスの原因の一つは、「賞味期限」が過ぎれば、どんな食品でもすぐに廃棄されてしまうこと。賞味期限はあくまで「おいしく食べられる」という期限であり、1日でも過ぎれば食べられなくなるものではないが、流通システムの中でも、家庭内でも廃棄や処分のきっかけになっている。

   そこで食品メーカーは賞味期限の延長などを図ろうとしており、18年3月時点で次のような成果を出している。キユーピーは、容器包装の外部からわずかに侵入してくる酸素を吸収する高いバリア性をもった容器を開発。さらに製造工程でも、できる限り酸素を排除すことなどによって、従来は7か月だった「キユーピーマヨネーズ」などの賞味期限を現在では12か月まで延長している。

   佐藤食品工業は、酸素の侵入を防ぐ包装の技術を高めるなどして、切り餅などの賞味期限を従来の15か月から24か月に延長。同じく、切り餅を作る越後製菓も包装技術の向上などで従来の12か月から24か月に賞味期限を延長した。

商品を小分け

   森永乳業は酸素や光を遮断できる容器を採用するなどの工夫を重ね、賞味期限が10か月にも上る「森永絹ごし豆腐」を開発した。通常の一般的な豆腐の賞味期限は1週間程度で、賞味期限の延長は海外への輸出などにもつながっている。

   一方、キッコーマン食品は、ボトルを二重構造にすることで、開栓後も酸素がしょうゆに触れず、高い保存性をもつ「いつでも新鮮シリーズ」を開発した。

   このほか、商品を小分けや個包装にしたり、チューブに入った食品を最後まで絞り出せるよう工夫したりするなど、無駄を減らすための食品メーカーの容器包装対策は広がっている。あるメーカー幹部は「フードロスという大きな問題の中で、我々の対策は小さなものだが、一歩一歩取り組んでいくしかない」と話している。