J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

文科省「照会」池田佳隆議員は「安倍首相の愛弟子」、教育の「政治的中立性」主張、「魔の3回生」

   「日本の教育を変えよう」「自虐的過ぎる日本の歴史教育」「健全な愛国心が自然にわき起こるような教育を」――自民党の池田佳隆衆院議員が2006年、政界進出前に刊行した『誇り高き国 日本 この国に生まれて本当に良かった』(ダイヤモンド社)の目次である。同著には保守系の評論家・櫻井よしこ氏が「絶賛」の帯を寄せている。

   文部科学省が前川喜平・前事務次官の授業内容を報告するよう名古屋市教委に求めた問題で、先だって省に照会を行っていた政治家が、池田氏とやはり自民の赤池誠章参院議員であることが2018年3月20日明らかになった。毎日新聞の報道を受け、林芳正文科相が会見で認めたものだ。

  • 池田氏のフェイスブックには、たびたび「教育」への思いを語る投稿が
    池田氏のフェイスブックには、たびたび「教育」への思いを語る投稿が
  • 池田氏のフェイスブックには、たびたび「教育」への思いを語る投稿が

JC会頭時代に歴史アニメ作りも

   中でも池田氏は、文科省からの質問項目を「チェック」するなど積極的に関わっていたとされる。いったいどのような人物なのか。

   公式サイトのプロフィールなどによれば、1966年生まれの51歳。父親の興した化学薬品メーカーを経営するかたわら、2006年に日本青年会議所(JC)会頭に就任、その後2012年の衆院選で初当選し、以来3選を重ねる。いわゆる「魔の3回生」世代だ。安倍晋三首相に近い議員による勉強会「文化芸術懇話会」に参加、産経新聞で「安倍首相の愛弟子」と紹介されたこともある。

   その経歴からは、「教育」への強い関心がうかがえる。

   JC会頭時代の2006年には衆院に参考人として出席、「伝統的な日本の精神性」が失われつつあることを憂い、

「教員組合のイデオロギーのもとで贖罪国家意識を植えつけられてきたせいか、いわゆる敗戦のトラウマによって祖国日本への愛情を抱くことさえできず、こんな国に生まれなければよかった、そう言って嘆く子供たちが毎年毎年どんどん増殖している現実に、悲しみを通り越して恐怖さえ感じています」

と持論を展開したのもその表れだ。また池田会頭時代のJCでは、やはりいわゆる「自虐史観」を否定する内容の歴史教育アニメ「誇り~伝えようこの日本のあゆみ~」を作成、教育現場への導入を図り、共産党などの反発を招く出来事もあった。前述の自著でも、一章を割いて教育への思いを語っている。

「教育現場を絶対に政治闘争の場にしてはなりません」

   政治家としても教育問題に熱心に携わり、現在は自民党・文部科学部会部会長代理の任にある。なお、今回ともに「照会」を行った赤池氏は同部会長だ。

   この文部科学部会での功績として、自らのウェブサイトで挙げているのが、「学校教育における政治的中立性を確保」したことだ。2016年に選挙権年齢の引き下げなどを受けて設置された「学校教育における政治的中立性を確保するプロジェクトチーム」座長を務め、報告書を取りまとめたという。サイトでは、

「主権者教育が重要度を増すこれからだからこそ、教育現場を絶対に政治闘争の場にしてはなりません。これからも、子供たちの政策リテラシーが正しく育まれる学校教育をつくるために尽力してまいります」

と抱負をつづる。

   なお、自民党では同じ16年、党サイト上で「学校教育における政治的中立性についての実態調査」を実施している。学校現場で「中立を逸脱した教育を行う先生方」がいるとして、こうした事例を投稿するよう呼びかけたものだが、野党やメディアなどからは「密告を促す」(毎日新聞)ものではないか、と物議をかもした。