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西部邁さん「自殺幇助」容疑者に語った内容 MX番組で対談していた

   評論家の西部邁(にしべ・すすむ)さんが2018年1月に、東京都大田区の多摩川で入水自殺したことをめぐり、警視庁は2018年4月5日、西部さんの知人の男2人を自殺幇助(ほうじょ)の容疑で逮捕した。

   西部さんはこの10年間近くにわたって、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)で対談番組を持っていた。番組は西部さんの死去で最終回を迎えたが、容疑者2人は、最終回のプロデューサー、西部さんの対談相手として番組に関わっていた。最終回では西部さんが死について触れる場面もあり、「本当に幸いなのは、死ねること」などと話していた。

  • 「西部邁ゼミナール」最終回で対談する青山忠司容疑者(左)と西部邁さん(左)。番組はTOKYO MXのユーチューブチャンネルで公開されている(写真は同局のユーチューブチャンネルから)
    「西部邁ゼミナール」最終回で対談する青山忠司容疑者(左)と西部邁さん(左)。番組はTOKYO MXのユーチューブチャンネルで公開されている(写真は同局のユーチューブチャンネルから)
  • 「西部邁ゼミナール」最終回で対談する青山忠司容疑者(左)と西部邁さん(左)。番組はTOKYO MXのユーチューブチャンネルで公開されている(写真は同局のユーチューブチャンネルから)

2008年の初回放送でディレクター務める

   西部さんは手が不自由だったが、多摩川に飛び込んだ後に発見された際にはロープが結び付けられた状態だったため、何者かが自殺を手助けした可能性があるとして警視庁が捜査を進めていた。逮捕されたのは、西部さんの知人で、TOKYO MX子会社の社員・窪田哲学(45)と、会社員青山忠司(54)の両容疑者。MXでは、西部さんの名前を冠した番組「西部邁ゼミナール」を、前身の番組を含めると08年10月から放送していた。様々なゲストを招いて西部さんと論戦を交わす内容で、初回放送から窪田容疑者はディレクターとして名を連ねていた。

   西部さんは18年1月21日に死去。死去にともなって番組も1月27日に最終回を迎えた。最終回は1月10日に収録され、「西部邁 生前最後のメッセージ」と題して放送。窪田容疑者は、3人いるプロデューサーのひとりだった。そこに対談相手として登場したのが青山容疑者で、西部氏が主宰する私塾「表現者塾」の「塾頭」という肩書だった。

「お願いですから死なせてください。もういいんです」

   ここ数年、親しい人には「死にたい」と漏らしていたという西部さん。番組終盤にも、死に関するやり取りがあった。青山容疑者がスペインの哲学者ホセ・オルテガ・イ・ガゼットの

「人間は生きることそれ自体にではなく、より良く生きることにのみ本格的な関心を持つ奇妙な動物である」

という言葉について見解を求めると、西部さんは

「『よりよい』の基準、規範があるはず。結局一生かかっても『これですよ』というように分かりやすくは示せないもんだろうけど、それを求めて喋って書いて喋って書いているうちに、本当に幸いなのは、死ねることなの。これ、あと、おれねぇ、1000年同じことやれと言われたらね、『お願いですから死なせてください。もういいんです』と。絶対、神や仏には近づけない。近づけば近づくほど神と仏は遠のいていく」

と応じていた。

   TOKYO MXは

「弊社の従業員が、西部邁氏の自殺に関与した疑いがあるとして、警視庁に逮捕されました。本件につきましては、捜査中でもあり、コメントは差し控えたいと思いますが、弊社といたしましては、警察の捜査に全面的に協力していく方針です」

とのコメントを発表している。