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『プラモ狂四郎』の窃盗・転売騒動 原作者が明かした「まさか」の顛末

   1980年代に『コミックボンボン』(講談社)で連載された漫画『プラモ狂四郎』の原作者・やまと虹一さんが2018年6月16日、自身のブログで「お詫び」を掲載した。

   プラモ狂四郎の原画が、知らぬ間にインターネットオークションに出展されていた――。ブログにそんな内容の漫画をアップすると、「悪質な手口」と心配の声が寄せられることに。だがその後、衝撃の事実を明らかにした。

  • 『プラモ狂四郎』(講談社漫画文庫)
    『プラモ狂四郎』(講談社漫画文庫)
  • 『プラモ狂四郎』(講談社漫画文庫)

「新聞紙にすり替わっていた」

   やまとさんは18年6月12日、ブログに「プラモ狂四郎シンドローム≪特別編≫」と題する漫画イラストを掲載した。

   イラストによると、「昨年の暮れ...『プラモ狂四郎』の電子書籍版の作業が進む中...ライターの横澤ありす氏から」連絡がきた。「横澤さん」から伝えられたのは、

「至急プラモ狂四郎の原稿が手元にあるか確認してください ネットオークションに原画が出展されています」

   調べると「確かに見覚えある原稿がカリオクネットに出店され、既に2千万の値段がついて」(原文ママ)いた。

   「仕事場のクローゼットに保管してある狂四郎の保管箱」の中を確認し、「全巻の原稿が消えて新聞紙にすり替わっていた」として、「完全な僕の管理不行き届きである」と反省した。

「考えられるとすれば、狂四郎以降、3度の引っ越し...そのいずれか...しかし新聞紙で細工している所を見ると故意と考えられる...漫画家諸氏は過去の原稿を確認したほうがいい...」

   この緊急事態を受けて「担当者に事情を説明...編集部は直ぐにカリオクネットに出店中止を申し入れた」(原文ママ)が、出展者に個人情報の開示を断られたという。

「こうして、プラモ狂四郎の電子書籍化は延期を余儀なくされたのである」。

講談社「社内で調査しましたが...」

   やまとさんのこの漫画イラストをめぐっては、原作のファンを中心とするネットユーザーがツイッターなどで、

「プラモ狂四郎の原画...紛失じゃなくて完全に盗難だよね。新聞紙にすり替わってたなんて計画的犯行だよ...」
「悪質な手口だった...。これ窃盗じゃないんですかね...」
「プラモ狂四朗の原稿全てすり替えられていたって...マジかよ」
「原稿紛失事件のなかでも本格的にやばいやつでは」

と心配の声を上げていた。中には「泥棒の情報寄越さないオークションサイトってなんなんだ」「出品者の情報を被害者が開示できるシステムとかないもんかね」との声も。

   J-CASTニュース編集部は15日、この件について講談社に取材を申し込んだ。広報担当者によれば、

「社内で調査しましたが、(漫画にあるような)事実関係は出てきませんでした。お答えしようがありません」

と回答するのが精いっぱい。だが、無理もなかった。

   やまとさんは16日、「この度は、お騒がせして申し訳ありませんでした...」とブログを更新。件の漫画イラストに書いた内容はフィクションであることを明かしたのだ。

作者「配慮に欠けました」

「どこで、こんな誤解が生じてしまったのか?正直、驚きました。やはり『原稿紛失』『ネットオークション』のキーワードがリアル過ぎたのでしょうか...プラモ狂四郎シンドローム≪特別編≫は、僕が如何にして、当時のコミックボンボンのガンプラ漫画を辞めたか?と言う、心情を別の形で表現してマンネリ化を解消しようと試みた結果だったのですが、まさか、こんな事態になるとは夢にも思っていませんでした...」

   やまとさんは16日のブログでそう釈明し、「改めて、その行方を気にして下さる『プラモ狂四郎』ファンのいる有難さを実感した次第です」と感謝。イラストに登場する「横澤ありす」や「カリオクネット」も架空のものだとして、

「今回の件に付きまして、いろいろ配慮に欠けました事を深くお詫び申し上げます」

とお詫びした。

   ちなみに「諸事情で『プラモ狂四郎』電子書籍が延期になっているのは確か」だという。