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浪商選手のひじ打ちは故意? ハンドボールめぐり二転三転の展開

   インターハイのハンドボール男子大阪予選決勝で、大阪体育大学浪商高校の選手が対戦相手の桃山学院高校のエースにひじ打ちする映像がテレビで流れ、故意ではないかと物議を醸している。

   浪商高校側は、「故意ではない」と否定したが、大阪高体連では、再調査も検討していることをJ-CASTニュースの取材に明らかにした。

  • 今度はハンドボールめぐる騒ぎが(写真はイメージ)
    今度はハンドボールめぐる騒ぎが(写真はイメージ)
  • 今度はハンドボールめぐる騒ぎが(写真はイメージ)

桃山学院エースの首を押さえつけているようなシーンも

   青と黄色のユニホームの浪商選手が、白のユニホームの桃山学院エース選手の前にぴったり付いた瞬間だった。浪商選手が体を右にひねると、桃山学園エースは、背中から突然倒れた。

   そして、みぞおち辺りを押さえたまま、うずくまってしまう。エース選手は、浪商選手の手を借りて立ち上がったものの、つらいのかまた倒れ込んでしまった。

   これは、2018年7月4日放送のテレビ朝日系「モーニングショー」で流された観客撮影の映像だ。ひじ打ちがあったのは、後半13分だったという。決勝は、6月10日に大阪府堺市内の体育館で行われ、浪商高校が勝って全国大会出場を決めた。

   番組では、前半戦で浪商選手が桃山学院エースの首を押さえつけているような映像も紹介された。ひじ打ちも含め、桃山学院側は、審判に反則であることを猛アピールしたが、審判は見ていなかったらしく、受け入れられなかった。

   桃山学院ハンドボール部の木村雅俊監督は、「何もないのに(エース選手が)悶絶して涙を流して倒れているっていうことは、やっぱり考えられない」と故意性はあったとの見方を番組のインタビューで示し、「事実関係はうやむやにしたくない」と訴えた。

「ユニホームをつかんでいるのを振りほどくため」

   一方、浪商高校側は、「故意ではない」と番組のインタビューで言い切った。ハンドボール部の徳永昌亮監督は、「ユニホームをつかんでいるのを振りほどくために、体をひねったときに(ひじが)当たっているというように私は見てますし、子供からもそういう話を聞いています」と説明した。浪商選手が桃山学院エースの前に付いたのは、ボールをもらうための位置取りだったという。

   大阪高体連の事務局にJ-CASTニュースが7月4日に聞いたところによると、決勝戦のあった6月10日のうちに、桃山学院側がひじ打ちシーンの動画を提供し、調査するように高体連に訴えがあった。

   高体連は翌11日、ひじ打ちした浪商選手と桃山学院エース、そして両校の監督を呼んで、事情聴取した。浪商選手はその場で謝罪し、エースもこれを受け入れたという。高体連も、浪商側に厳重注意をした。

   しかし、他校の顧問から別角度の動画の提供があり、桃山学院側は、しかるべき場で議論してほしいと高体連に要請した。そこで、高体連は、6月13日に常任委員会を開き、動画を検証した結果、ひじ打ちの前に桃山学院エースが浪商選手のユニホームを引っ張っていることを確認した。エースもこれを認めたといい、常任委では、ひじ打ちは故意とは断定できないと結論を下した。

「ぶっ殺す」と叫ぶ動画がインスタに

   ところが、桃山学院側からは、さらなる情報提供があった。

   浪商高校のハンドボール部員が決勝戦の前日、インスタグラムに動画をアップし、部員らが「ぶっ殺す」「やっちまいましょう」と叫んでいたというのだ。桃山学院側が「モーニングショー」で明らかにしたところによると、浪商部員のLINEのグループでのやり取りでは、「ぶっ殺す」などする対象に桃山学院エースの名前を挙げていたという。

   こうした「犯行予告」とも取れる動画について、大阪高体連では、浪商側に聞き取り調査を求め、6月20日に再び常任委を開いた。浪商側はそこで、不適切な発言だと投稿を認め、部員らを指導したことを報告した。しかし、ひじ打ちした選手は、LINEのグループなどに入っていなかったという。常任委は、「ぶっ殺す」などは桃山学院側に向けたものであり、犯行予告などには当たらないと結論を出し、高体連でも、「妥当な対応をしていただいた」としている。

   浪商側は、「モーニングショー」のインタビューでは、あくまで冗談であり、ひじ打ちなどには結びつかないと説明した。しかし、桃山学院側は、現実に起きてしまったら、それは冗談ではないと反論していた。

   こうした状況を受け、高体連は7月4日、桃山学院側が常任委の調査結果に納得していないとして、再調査の検討をしていることを取材に明らかにした。