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打ち水では間に合わぬ アスファルトでは「かえって暑くなる」と小池都知事に疑問

   2020年夏の東京五輪は、猛暑の中での開催が予想されることから、東京都の小池百合子知事は、「打ち水作戦」を行う考えを明らかにした。

   マラソンなどの競技でも行うのかは不明だが、アスファルトの上では、かえって暑くなるのではとも指摘されている。

  • 打ち水、アスファルトでは意味ない?
    打ち水、アスファルトでは意味ない?
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中尾彬「あれは、昔からある路地でやるもんなんだ」

「私は、あの小池さんが言っていた打ち水っていうの、反対だね」。

   テレビ朝日系で2018年7月24日放送の情報番組「グッド!モーニング」では、コメンテーターの中尾彬さん(75)がこう作戦に異議を唱えた。

   小池知事は前日の23日、観測史上初めて都内で40度を越した暑さの中、打ち水のイベントに参加し、「江戸の知恵で、おもてなしでもある」と五輪での活用を説いていた。

   しかし、中尾さんは、打ち水について、

「あれアスファルトにやったら余計暑くなるぜ。あれは、昔からある路地でやるもんなんだ。何か勘違いしてるんだよ」

と突っ込みを入れていた。

   実際、過去には、アスファルトに打ち水をする効果に疑問符が付くケースも出ている。岐阜県多治見市で、当時の国内最高気温の40.9度を記録した2007年から、散水車による打ち水が市内の大通りなどで行われた。ところが、読売新聞の10年8月4日付記事によると、「湯気が立ちこめ、さらに暑くなる」と市民から苦情が出るなどして、この年で打ち水が中止になっていた。

   ツイッター上では、こうした過去の教訓も引き合いに出され、小池知事らが進める打ち水作戦に疑問の声も出ている。

蒸発の時間短く、涼しさの体感は...

   東京五輪では、暑さ対策で陸上などの競技で午前中の開始時間を早めると、7月に入って発表された。マラソンは7時、競歩は早い種目で6時からスタートする。

   とはいえ、ゴールするのは9時から10時ぐらいが予想され、もう昼前と言ってもいいぐらいの時間だ。実際、7月23日の東京の気温は、7時台からもう30度を超えていた。

   東京都などは、暑さ対策のため、マラソンや競歩のコースになっているアスファルトの幹線道路で、特殊な塗料で赤外線を反射する遮熱性舗装を進めている。この塗装の道路で、打ち水作戦を行うかどうかについて、都建設局の保全課は27日、「現段階では、考えていません」とJ-CASTニュースの取材に答えた。

   小池百合子知事がマラソンなどのコースでも打ち水を考えているかは不明だが、都内の多くを占めるアスファルトの道路でどれだけ効果があるのだろうか。

   日本気象協会の「熱中症ゼロへ」プロジェクトチームは26日、水を長く保つ土や芝と違い、熱されたアスファルトへの打ち水は、水の蒸発が早くなる場合があるとJ-CASTニュースの取材に答えた。

   30度を超える昼間のような時間に行われるマラソンなどで、たとえ打ち水を行ったとしても、

「涼しさを体感できる時間が短い可能性があります」

という。