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山根会長に告発側がブチ切れ会見 「逃げた」「辞任って何を?」

   日本ボクシング連盟の不正を指摘する告発状を提出した「日本ボクシングを再興する会」が2018年8月8日に会見を開き、辞任表明した山根明会長について、「逃げた印象だ」などと批判した。

   同会は、山根氏が何を辞任するのか明言しなかった上、告発内容への説明が全くなかったことに「憤りを感じる」と不満を隠さなかった。

  • 会見に出席した(左から)岩井翼弁護士、戸田裕典弁護士、鶴木良夫会長、仁多見史隆氏、菊池浩吉氏
    会見に出席した(左から)岩井翼弁護士、戸田裕典弁護士、鶴木良夫会長、仁多見史隆氏、菊池浩吉氏
  • 会見に出席した(左から)岩井翼弁護士、戸田裕典弁護士、鶴木良夫会長、仁多見史隆氏、菊池浩吉氏
  • 会見で発言する「日本ボクシングを再興する会」の(左から)鶴木良夫会長、仁多見史隆氏、菊池浩吉氏

「一方的に辞任を伝えて終わった」

   同会の会見には、鶴木良夫会長(新潟県ボクシング連盟理事長)、仁多見史隆氏(同副理事長)、菊池浩吉氏(宮崎県ボクシング連盟副会長)と、代理人弁護士の戸田裕典・岩井翼両氏が出席した。

   冒頭、告発状でも指摘がある「不正審判」の証拠として、山根会長がこれを強要している音声データを場内で放送。16年2月5日のもので、

「奈良の選手と他の県と接戦しとるのに左やってみい。『お前ら俺に逆らっとるんか?』ってことになってくるのよ」
「接戦した場合、やっぱり奈良やな。それ反対につけた場合は『お前なめてるんか?』ってなってくるわけ」

などと、審判員に向かって山根会長が迫ったとみられる様子が録音されていた。

   その山根会長はこの会見直前、大阪で報道陣を集め、「私は本日をもって、辞任いたします」と表明した。だが、わずか5分程度、用意した声明文を読み上げるだけで終了。上記の不正審判含め告発状が指摘する不正についての説明も一切なかった。

   こうした態度を「再興する会」は問題視。鶴木氏は「『辞任』と言ったが、辞任の中身が分からない。会長を辞めるのか、理事や会員としてとどまり影響力は残すつもりか。どう判断していいか戸惑っている」と不快感を示した。

   いっそう怒りを示したのは菊池氏だった。

「発言を聞いたが、私どもが(告発状に)あげた項目の説明がまったくないまま、一方的に辞任を伝えて終わった形だった。逃げたという印象があった」

「憤りを感じる」

   また、山根会長は辞任表明の最後に、「どうか選手の皆さん、将来東京五輪に参加できなくても、その次の五輪もあります。頑張ってください」などと発言。これについても菊池氏は、

「東京五輪はダメかもしれないようなことを言っていたが、そこに至ったのは日本連盟と山根会長がやってきたことだ。責任を感じてほしい。憤りを感じる」

と激怒した。

   現役選手らにこうした言葉を述べたことに、「高校生や五輪をめざす選手は不安を感じただろう。しかし、勝つべき選手が勝てるように、透明性ある判定ができるように、新しい組織を作り上げたい」とし、

「高校生にあれだけ不安を煽るような発言には、怒りを感じた。会見の形であれだけ不十分な説明をするなら、質問を受けられる形で会見をしてほしかった」

と糾弾している。なおボクシング競技は、IOC(国際オリンピック委員会)で実施の取りやめが継続審議されている状況もある。

   一方、会見では日本連盟の内海祥子・常務理事が話す音声データも公開。「近大に勝たせたくないわけさ」「そのために会長が審判を集めてるんだから。お前たち、なんで集められたか知ってるんか言っとかないとダメだよ。正しくやっちゃうといけない」などと、山根会長の意に沿って不正審判のため暗躍するような様子が記録されていた。

   このような実態から「再興する会」は、日本連盟のガバナンスを正常化するため、今後の総会で、山根会長の除名に加え、現職理事の総退陣も求めていく姿勢。鶴木氏は「現体制を刷新し、47都道府県の総意のもと、民主的に新体制を決めていきたい。公平性・透明性ある組織を確立したい」と決意を述べていた。

   新体制をつくるにあたって次期会長候補はいるか、「再興する会」はどう関わるかを問われると、鶴木氏は「現在は改革一本に絞っており、次について語り合ったことはない。『再興する会』が新体制づくりを主導する考えもない」とした。次代を担う人材は「豊富にいる」という。「鶴木さんはその1人ではないか?」と聞かれると、「外れてます」と即答した。