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中田敦彦「良い夫やめる」の心理学 専門家なら「すれ違い」の理由をこう見る

   お笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の中田敦彦さんが「日経デュアル」で2018年10月22日に発表した「中田敦彦 方針変更!『良い夫』やめました」とのタイトルのインタビュー記事が話題だ。

   育児にかかりきりの妻・福田萌さんの負担を軽くすべく、仕事量や自分の趣味の時間を減らし、「良い夫」であることに努めてきたという中田さんが、福田さんの要求が次第にエスカレートしてきたとして、その要求を断ち切って「良い夫」をやめることを宣言する内容だ。

   夫妻の間に起きたすれ違い。亀裂を招く男女の「心理」と、無用の軋轢を防ぐためのアドバイスを識者に聞いた。

  • 中田敦彦さん(2016年撮影)
    中田敦彦さん(2016年撮影)
  • 中田敦彦さん(2016年撮影)

「あなたは、これをしてくれなかった」との言葉に...

   中田さんはインタビュー記事の中で、「妻は、『あなたは、これをしてくれなかった』『あなたは、あれをしてくれなかった』と、足りないことばかり注目するようになっていました」と、福田さんの変化を振り返っている。これに対する形で福田さんはインタビュー記事掲載の翌23日にツイッターで、

「子供にはすっごい感謝したり褒めてたのに、夫への感謝、賞賛はなおざりにしてました。私が完全に夫に甘えてました」

と自らを振り返っている。また、福田さん自身が忙殺されてきた家事全般についても、「料理なんて誰でもできることをやらなくていいよ!」と、中田さんから言われたことを明かしている。

   中田さんもインタビュー記事で、「僕の利益で家政婦さんやシッターさんにアウトソーシングしてはいけないの?」と、解決策を提示。最終的にはお互いが思いを吐き出すことで、福田さんが「以前より、優しくなったような気もします」と、家庭内に落ち着きを取り戻せたことを明かしている。

   妻(夫)のためを思ってさまざまな要求を飲んでいくうちに疲れ果て、要求を実現してもダメ出しを受ける......中田さんの家庭に限らず、この手の悩みを抱えている夫婦は多いだろう。ネット上でも、「1つ1つ問題を解決しながら家庭を築いていければよい」「いざとなれば家事の外注もありだよね」などの声が続々。「夫婦の『当たり前』のすり合わせできてなかったことが不和の原因なのかなと思った」と、お互いに不満が溜まってしまった原因を推測する向きもある。

   このような状況に陥らないようにするにはどうすれば良いのか?

「過程」を重視する男性と、「結果」に喜び感じる女性

   経営コンサルタントで心理学博士の鈴木丈織氏は以下のように指摘する。

「中田さんの家庭で起きた今回のような問題は、『円満な家庭を作ろうとする際に、男女では重視する点が違う』という点を意識すれば解決することができます。端的に言うと、男性は『円満な家庭を作るまでの過程』に喜びを感じる傾向が強く、その一方で、女性は『完成された円満な家庭像』に喜びを感じる傾向が強いです」

   確かに「日経デュアル」の記事でも、中田さんは、自分がいかに働き方を変え、「妻の要求」に応えようとしてきたかの「過程」を熱弁している。

「ゆえに、男性は『不慣れな家事をやっている自分』『いつかは家事が上手くなる自分』という像に喜びを感じてしまいます。その一方で女性は完成形を重視しますから、『家事に不慣れな夫がもたらした不完全な家事の結果』に不満を抱いてしまいます。この結果、男性側は『妻が要求のレベルを上げ続ける』『妻は自分のできないところばかり注目する』という不満を抱いてしまうことになります」

   では、こうしたすれ違いを避けるにはどうすればいいのか。

「このようなすれ違いを避けるには、『家事を行う際は少しでも疑問に思ったらその点についてLINEなり何なりで相手に聞いてみる』ということをやってみればよいでしょう。忙しい中での家事分担ですから、指示を待つというよりは家事を進めてしまった上で後からメッセージを見返して、至らなかった点と照らし合わせばお互いストレスが溜まらずにすむのではないでしょうか」

   また、コミュニケーションの大切さも鈴木氏は指摘する。

「『なぜ人は「良い夫」「良い妻」たろうとしてしまうのか?』ですが、これは決して義務感や虚栄心などではなく、あくまで円満な家庭を願っているからです。なので、『こんな家庭をつくりたい!』『こんな夫、妻になりたい』という像を常に言語化し、夫婦間で話してみると、すれ違いはなくなっていくはずです」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)