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4階級制覇めざす井岡一翔 井上尚弥との「決定的な差」とは

   ボクシングの世界3階級王者の井岡一翔選手が、大みそかにマカオで世界戦を行うプランが浮上している。WBO世界スーパーフライ級3位にランクしている井岡選手が、同級1位ドニー・ニエテス(フィリピン)との王座決定戦に出場するもので、日本人史上初の世界4階級制覇がかかる。

   井岡選手は昨2017年の大みそかに引退を発表し、父・一法さんが経営するジムを退会。一度は完全にボクシングから離れていたが、今年9月に海外のプロモーターと契約し米国のリングで復帰し、世界ランキング入りを果たした。

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3団体の王座統一を目指す井上選手

   井岡選手が世界4階級制覇を目指す一方で、高額賞金トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」に参戦中のWBA世界バンタム級王者・井上尚弥選手は、3団体の王座統一を目指している。

   日本の誇る軽量級の実力者は、それぞれ違う路線を歩むが、海外での評価は井上選手が圧倒的に高い。

   井上選手、井岡選手ともにボクシングの本場である米国でリングに上がったのは1度だけ。井上は2017年9月、WBO世界スーパーフライ級王座の6度目の防衛戦でアントニオ・ニエベス(米国)を6回終了TKOで下した。井岡選手は今年9月にマクウィリアムス・アローヨ(プエルトリコ)と対戦し、3-0の判定で退けた。

   ただ、井上選手は早くから海外で注目されていた。一躍世界にその名を知らしめたのは2014年12月。WBO世界フライ級を16度防衛し、同スーパーフライ級11度の防衛中だった王者オマール・ナルバエス(アルゼンチン)に挑戦し、戦慄の2回KO劇で王座を獲得した。

   この一戦は世界で高く評価され、世界的な大手ボクシング専門ニュースサイト「ファイトニュース・ドットコム」の2014年度の年間MVPに日本人ボクサーとして初めて選出された。

ともに「海外路線」

   一方の井岡選手は、WBA、WBC世界ミニマム級王座を統一し、世界3階級制覇の実績を持つが、世界的には「日本のリングから出ない王者」として認識されていた。これに加えて、当時、同階級にいた無敗の絶対王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)との対戦が実現せず、世界に名を売る機会を失ったのも世界的な評価が低い要因のひとつだろう。

   現在、井岡選手は日本のジムに所属せず、日本ボクシングコミッション(JBC)が発行するプロライセンスを所持していないため、日本のリングに上がることは出来ない。井岡選手はロシアのプロモーターと契約しており、キューバ人のトレーナーから指導を受けており、今後は海外を主戦場としていく構えだ。

   海外志向の強い井上選手もまた、今後は海外でのリングが続く見込みだ。来春に予定されるIBF世界バンタム級王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)との「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ」準決勝戦は、米国で行われる可能性が高い。

   井上選手は「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ」を制し、3団体の王座統一に成功すれば、米国でさらなるビッグマッチ、巨額ファイトマネー獲得のチャンスも十分にある。

   同じ海外路線を進む井岡選手はまず、世界4階級制覇。井上選手との「決定的な差」を縮めるためには、負けは許されないだろう。