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クセもの・元木コーチが巨人を変える? 原監督も一目置く「センス」と「人たらし」ぶり

   巨人の元木大介内野守備兼打撃コーチが2018年11月1日、宮崎で行われている秋季キャンプに合流した。この日行われた紅白戦では三塁コーチャーを務め、攻守にわたって大きな声で選手にゲキを飛ばした。元木コーチの的確な指示を原辰徳監督は高く評価し、その手腕に期待を寄せた。

   コーチデビューで早くも指導者としての才能の片りんをのぞかせた元木コーチ。現役時代は隠し球で相手チームを揺さぶるなど「クセもの」として知られる一方で、卓越した野球センスは、大打者・落合博満氏をもってして「松井(秀喜)選手よりある」と言わしめるほどだ。

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引退真っ先に伝えたのは原監督

   原監督もまた、元木コーチのセンスに一目置いている。現役時代ともに戦ってきた2人の絆は固く、強い信頼関係で結ばれており、原監督に引けを取らない「巨人愛」を持っている。

   2005年、元木コーチは当時の堀内恒夫監督のチーム若返りの方針によって長い2軍生活を強いられ、その年の9月に戦力外の通告を受けた。当時33歳の元木コーチのもとに他球団からのオファーがあったが、これを固辞。15年間、巨人一筋できた元木コーチは巨人の選手のまま引退することを決意し、真っ先に原監督に伝えたという。

   現役時代の元木コーチの隠し球や激しいスライディングは、たびたびファン、球界を巻き込んで物議をかもした。一見すれば、汚く卑怯なプレーにさえ見えるが、このようなプレーに対して元木コーチは確固たる信念を持っている。

   元木コーチが「飛び道具」を使う時の条件は、チームが劣勢に立たされているときで、勝っている展開では決して使わないという。試合の流れを少しでも引き寄せるためのもので、そこに卑怯さは微塵もないという。

監督と選手の潤滑油になれるか

   また、原監督が元木コーチに期待するのは、首脳陣と選手との間の潤滑油的な役割だろう。元木コーチは現役時代から「人たらし」として知られる。

   新人時代の松井秀喜氏の運転手にはじまり、FAで移籍してきた清原和博氏、落合博満氏らの大物選手の「付き人」を務めた。外様の選手が早くチームに溶け込めるように、調整役に徹して人間関係を築いてきた。

   長く清原氏のキャッチボールの相手を務め、元木コーチがケガで戦線を離脱していた時には、元木コーチが復帰するまで誰ともキャッチボールをしなかったという。また、年下の松井氏からは「大(だい)ちゃん」と呼ばれ、先輩後輩問わず慕われていた。

   現役時代には「挫折」を味わった。上宮高時代には歴代2位タイの甲子園通算6本塁打を放ち、ホームラン打者として名をはせた。だがプロ入り後、高校時代までのパワーは通じず、打線ではつなぎ役に徹した。

   キャリア晩年では代打で起用されることが多くなったが、持ち前の鋭い配球の読みと集中力で一発勝負のチャンスをものにし、代打の切り札として活躍した。

   高橋由伸監督が率いた2018年シーズンに欠けていたものは、「チーム戦略」と「選手の闘志」と指摘されてきたが、新たな「頭脳」が加わったことで来季、一味違った巨人が見られるかもしれない。