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シャープ再生、早くも立ちはだかる壁 中国市場の変化で「成長力」かげりも

   シャープはトンネルを脱けられるか――。

   2018年10月25日には前日発表の業績修正を受け、株価は一時前日終値比10.0%安の大幅下げを記録し、年初来安値を更新した。台湾の鴻海精密工業傘下で中国市場の販売拡大で回復を遂げてきたシャープ。しかしここへきてその成長力が疑問視され、先行き不安から売られる展開が続く。細かい浮き沈みはあるものの、全体的には1月12日につけた年初来高値(4205円)からの右肩下がりを脱せない状況だ。

  • 株価の行方は(画像はイメージ)
    株価の行方は(画像はイメージ)
  • 株価の行方は(画像はイメージ)

「先行きは楽観できない」と指摘

   シャープが10月24日に発表したのは2018年9月中間連結決算の見通し。10月30日に正式に中間決算発表をしたのだが、従来予想との乖離がやや大きい面があるので事前にかいつまんで発表したのだろう。

   営業利益は5億円増えて465億円、純利益は40億円増えて400億円と利益は上方修正。ただ売上高を1兆3000億円から1750億円下方修正し、1兆1250億円とした。売上高を下方修正した理由として「流通在庫を勘案し、中国で液晶テレビの販売を抑制するなど、量から質への体質改善に取り組んだほか、9月の台風が物流に影響した」と説明した。

   市場が反応したのは利益の上方修正ではなく、売上高の下方修正だった。

   10月25日の株価は一時、前日終値比10.0%(184円)安の1653円まで下落し、年初来安値を2日ぶりに更新。終値は前日比9.0%(166円)安の1671円だった。当日高値(1704円)が前日安値(1831円)を127円も下回り、「大きく窓をあける」急落でもあった。業績修正を受けたリポートを出したSMBC日興証券は「最終需要の弱さを勘案した場合、下期以降もさらなる調整リスクがあり、先行きは楽観できない」と指摘した。

中国の液晶テレビ市場もそろそろ...

   2018年夏以降、SMBC日興証券、野村証券、JPモルガン証券、UBS証券など国内外の証券各社は先行きの成長力などを不安視して軒並みシャープの目標株価を引き下げている。こうした動きも国内外の投資家の姿勢に影響を与えているものとみられる。

   10月30日に発表した2018年9月中間連結決算の内容も不安を増幅させるものだった。売上高は前年同期比1.2%増の1兆1290億円だったが、2018年7~9月期は2.2%減の5951億円。四半期ベースでは2016年8月に鴻海傘下となった直後の2016年10~12月期以来、7四半期ぶりの減収となった。中国の液晶テレビ販売が落ちてきていることがじわじわ効いていることを示した。

   また、2019年3月期の業績予想も修正し、売上高は従来予想より2000億円減の2兆6900億円とした。もちろん利益を確保することは重要だが、シャープ再生のけん引役だった中国での液晶テレビ販売が早くも「成熟期」を迎えたとも言える。野村証券は決算発表を受けたリポートで、「東南アジアや中国での家電拡販などグローバル戦略を加速していくとのことだが、売上高予想が大幅な下方修正になっていることなどから、先行きの不透明感が増している印象は受ける」と記した。

   決算発表後、株価は、発表当日の1600円を底に、幾分持ち直してはいる。それでも11月5日の終値は1809円で、終値2000円台は10月17日以来、遠ざかったまま。2000円でも年初来高値の半分でしかなく、市場の厳しい評価が続いていると言えそうだ。