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ご当地キャラ「こにゅうどうくん」、組織票疑惑の影に努力があった

   ゆるキャラグランプリ2018は、志木市文化スポーツ振興公社(埼玉県)のキャラクター「カパル」の優勝で幕を閉じた。

   今年は「組織票」が話題になり、なかでも三重県四日市(よっかいち)市の「こにゅうどうくん」(3位)に注目が集まった。騒動の中での地道な活動を振り返る。

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1997年に誕生

   「こにゅうどうくん」は1997年、地元のお祭りに登場するお化け、大入道(おにゅうどう)の「息子」として誕生した。年齢は「永遠の6歳」だというが、活動は20年選手。多くのキャラクターと比較してもベテランの域と言えるだろう。機敏な動きが特徴で、2015年には関ジャニ∞の応援団として「NHK紅白歌合戦」に出演。ふなっしー、ねば~る君といった人気キャラとともに、キレのあるダンスも披露している。

   そんな長寿キャラに「疑惑」がわいたのが、18年11月6日ごろ。福岡県大牟田市の「ジャー坊」(2位)、大阪府泉佐野市の「一生犬鳴(けんめい)!イヌナキン!」(4位)などとともに、「組織票」が投じられているのではないかと話題になったのだ。

   具体的には、市側がフリーのメールアドレスで、投票用のIDを大量作成し、市職員が「業務」として投票したり、呼びかけ活動を行ったりしたことが問題視された。これら3市は「中間発表」でのトップ3でもあるが、4位以降との票差が大きく開いていたこともあって、やり玉にあげられた形だ。これらの話題は15日の「クローズアップ現代+」(NHK)でも取り上げられ、大きく注目された。

   そんな中、疑惑を払拭しようと、積極的に情報発信したのが四日市市だった。森智広市長みずから、ブログで職員への投票強制を否定し、「自主的な投票が今回組織票と報道されていることに違和感を覚えます」(11日の投稿より)とコメント。先の「クロ現」にも電話出演し、同様に説明した。

「スッキリ」「ゴゴスマ」は市職員とともに

――と、ここまではよくある話だが、四日市市は今回、キャラクター自身の露出も精力的に行っていた。こにゅうどうくんはまず、11月7日の「スッキリ!!」(日本テレビ系)に出演。四日市市総合会館からの生中継で、阿部祐二レポーターが「直撃」取材を行った。全身で「ス」を表す「スッキリポーズ」で歓迎したこにゅうどうくんは、お化けらしく身体をユラユラ......。本人はしゃべれないため、アテンド役の市職員が説明するなか、約5分間にわたり出演した。

   12日には、「ゴゴスマ~GOGO!Smile!~」(TBS系)に登場。ご近所(名古屋市)のCBCテレビ制作とあって、中継ではなくスタジオに姿を現した。コメンテーターの「オアシズ」大久保佳代子さん(47)らから「(ちゃんと出演して)えらいな」と褒められるなか、またも市職員の横でユラユラ。他のニュースを挟みつつも、合計30分ほどにわたって出演し、軽快なステップを披露していた。

   これらの出演時、ツイッターでは辛辣な意見もある一方で、

「付き添いの人だけ呼んだらよかったんじゃないのw」
「政治家の不正みたいなテンションで扱われなくて良かったw」
「真剣な話してるのにずっと動いてる"こにゅうどうくん"じわるけどめっちゃ可愛い(笑)」

などと和やかな反応も多く出ていた。

土壇場で「肉離れ」になってしまう

   ネット上での投票は11月9日に締め切られ、17日、18日の花園中央公園(大阪府東大阪市)での「決選投票」と合わせた結果が、ランキングの最終順位となる。会場での「リアル投票」は3倍の倍率となっているため、キャラクターは会場で「最後のお願い」を行った。しかし、こにゅうどうくんは17日、ダンス中に「ふくらはぎが肉離れみたいな感じ」になってしまう。

   不正票の排除もあるなかで、最終的に去年より1ランク上げた3位に。満身創痍ながら授賞式にのぞんだ。なお、グランプリについて、森市長は出場前から「今年が最後」と明言している。

「『こにゅうどうくん』は今回で「ゆるキャラグランプリ」を卒業しますが、これからも、元気都市を目指し、四日市市と『こにゅうどうくん』は全力で駆け抜けていきます!」(20日の市長ブログより)