J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

貴ノ岩に格闘技団体が早くも熱視線 年末に向け「オファーの可能性、十分ある」

   付き人への暴力行為で大相撲を引退した元幕内・貴ノ岩(28)=モンゴル出身=に複数の格闘技団体が興味を示していることが2018年12月7日、J-CASTニュースの取材で分かった。11月の九州場所まで幕内の土俵に上がってきた貴ノ岩は、182センチ、150キロの体格を誇り格闘家としての資質は十分。話題性もあることから、今後、貴ノ岩を巡って格闘技団体による争奪戦の可能性が出てきた。

   日本プロレス界の父と呼ばれる力道山を筆頭に、これまで角界から多くの元力士がプロレスをはじめとする格闘技団体に転向した。その多くはプロレス界に転身したが、近年では総合格闘技のマットに第二の人生を求める者もみられる。

   プロレス団体の幹部は「プロレスラーとしてリングに上がるには、これからトレーニングが必要となるが、力士は受け身がうまく、体力があるの。幕内までいった貴ノ岩なら半年もトレーニングを積めばデビューできる。モンゴル出身の力士でレスラーはいないと思うが、第二のキラー・カーンとして売り出すこともできる」と貴ノ岩の潜在能力を指摘し、大化けする可能性を示唆した。

  • 画像はイメージ
    画像はイメージ
  • 画像はイメージ

過去には横綱・双羽黒の例...若麒麟もプロレス大賞新人賞

   角界と決別する理由は様々だが、今回の貴ノ岩のように、トラブルを起こして角界を去った力士が格闘家に転向したケースは少なくない。過去の代表的な例として元横綱・双羽黒の北尾光司氏のケースが挙げられる。北尾氏は当時所属していた部屋の師匠である立浪親方と意見が対立し、自ら部屋を出ていく形で角界を引退。その後、プロレスラーに転身して9年間にわたってレスラーとして活躍した。

   2009年には、元幕内で当時十両の若麒麟が大麻取締法違反(所持)の現行犯で神奈川県警察に逮捕され、角界を去った。引退後、アントニオ猪木のオファーを受けて本名の鈴川真一としてプロレスデビュー。2011年にプロレス大賞新人賞を受賞するなど、第二の格闘技人生で花を咲かせたひとりである。

   また、2008年に大麻所持で検挙されて解雇された元幕内・若ノ鵬は、格闘技団体からオファーを受けるもアメリカンフットボールのプロ選手を目指し渡米。米フロリダ州の大学のチームに所属し、プロ入りを目指したが、夢のNFL入りは実現していない。

運動能力はもちろん話題性も抜群

   不祥事で角界を去り、格闘家に転身したケースで記憶に新しいのが、元幕内の大砂嵐だ。自動車事故事件や重婚未遂疑惑などで今年3月に引退し、9月30日にさいたまスーパーアリーナで行われた「RIZIN.13」で格闘家デビュー。大相撲時代の四股名である大砂嵐の名でリングに上がり、ボブ・サップ(米国)と対戦し話題を集めた。

   格闘技団体の関係者は「貴ノ岩は魅力的な存在。格闘技の経験はないが、現役バリバリの幕内力士で運動能力は申し分ないし、話題性も十分。格闘技界には、今までも相撲界で不祥事を起こしてきた力士を受け入れてきた土壌があるので、そこの部分は問題ない。年末の興行の目玉として、複数の団体がオファーを出す可能性は十分にあります」と、貴ノ岩の「価値」を大きく評価する。

   今年10月に暴行を受けた日馬富士に対し、貴ノ岩は慰謝料などの損害賠償を求めて提訴したが、親族が母国でバッシングにあい、取り下げた。このような経緯から今回も母国でのバッシングを危惧して引退を決断したとみられる。

   暴行事件の被害者から一転して加害者となって引退を余儀なくされた貴ノ岩だが、28歳の若さと強靭な体に格闘団体から熱視線が注がれる。