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タクシー配車で加熱する各社 サービス乱立、覇権はどこが握る

   スマートフォンを使ったタクシーの配車サービス競争が熱を帯びてきた。ディー・エヌ・エー(DeNA)は2018年12月5日、配車アプリ「MOV(モブ)」を使ったサービスを、東京23区を中心としたエリアで始めた。日本交通系のジャパンタクシーや、米配車大手ウーバーテクノロジーなども順次エリアを拡大している。海外企業との提携も加速させ、顧客を囲い込もうとしている。

   DeNAは4月、神奈川県タクシー協会と共同で、横浜・川崎エリアで配車アプリ「タクベル」をスタート。その後神奈川県内ほぼ全域にサービスエリアを拡大し、今回の東京進出に合わせ、「MOV」に名称変更した。19年春には京阪神エリアに進出し、その後は順次、対応エリアを全国に拡大する予定だ。

  • 新たに投入された「0円タクシー」
    新たに投入された「0円タクシー」
  • 新たに投入された「0円タクシー」

広告主が運賃負担の「0円タクシー」も登場

   MOVを使って配車を頼むと、対応する一番近くのタクシーがやってくる。到着時間や行先までの料金の目安も表示。何かあった時はメッセージ機能で直接乗務員と連絡できる。ネット決済に対応しており、決済はアプリで自動的に行われる。東京都内では、日の丸自動車や東都自動車が対応。広告主が運賃を負担する「0円タクシー」を50台限定で導入するなど、話題は事欠かない。

   2019年3月までに1万5000台の後部座席に、タブレット端末を設置する計画。さらにはAIを活用して需給予測をしながら経路をナビゲーションするシステム「AI探客ナビ(仮称)」を導入する予定だ。

   配車アプリでリードするのは、日本交通系のジャパンタクシーだ。11年に日本交通が、国内初の配車アプリ「日本交通タクシー配車」をリリース。間もなく「全国タクシー配車」アプリを出し、15年には日交系の会社を「JapanTaxi」に商号変更して全国対応を加速。アプリ名も「JapanTaxi」に変え、今では47都道府県で、全タクシー台数の3分の1に当たる約7万台が対応する。

   18年12月には韓国で2000万人以上がダウンロードしているタクシーアプリ「カカオT」と連携。韓国の旅行者が、「カカオT」を利用して日本国内でタクシーを呼ぶことが可能になった。新たに翻訳機能が追加され、運転手と乗客との会話をサポートしてくれるという。

配車アプリは、もはや「常識」

   第一交通産業は中国の滴滴出行と提携し、2018年秋から一部地域で中国のアプリを使った配車サービスを始めている。大和自動車交通は12月、台湾のタクシー大手「台湾大車隊」と配車アプリの相互利用を始めた。訪日客を取り込むのが狙いだ。

   ライドシェア大手、米ウーバーテクノロジーズは、日本ではタクシーと協業を進める戦略だ。18年9月には名古屋の「フジタクシーグループ」と提携。19年1月には大阪のタクシー会社「未来都」がウーバーの配車アプリに対応する見通しだ。ソニーも東京都内のタクシー会社5社と「みんなのタクシー」を設立し、18年度内に配車サービスを始める予定だ。

   配車アプリの導入は「常識」になりつつある。アプリの出来不出来が、タクシー事業者の業績を左右する時代になることを意味している。