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すかいらーくの株を年末に買う人たち 業績「そこそこ」なのになぜ?

   ガストやジョナサン、バーミヤンなどを展開するすかいらーくホールディングス。その株価が、年の瀬のこの時期、好調に推移している。 いったいなぜ? 要因はいくつかあるが、一つの理由はとても「わかりやすい」なものだという。

  • 株価好調の背景は(画像はイメージ)
    株価好調の背景は(画像はイメージ)
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足元の業績は楽観視できないけれど

   すかいらーくHDの株価はこのところ、年初来高値圏で推移している。

   年初来高値をつけたのは12月7日の東京株式市場。前日終値比3.4%(64円)高まで上昇、この日は最高値引けとなり、これが終値になった。材料となったのは、前日に発表された11月の既存店売上高が4カ月連続プラスだったこと。7日は内需株を代表する外食銘柄が物色されたらしく、足元で上昇基調にあったすき家などを展開するゼンショーホールディングス(HD)、ラーメン店チェーンの幸楽苑の株価もそれぞれ年初来高値を更新した。

   すかいらーくHDの株価は翌週10、11、12日も連続して年初来高値を更新し、12日は1976円に達した。その後、やや下げているが、2018年を通してみれば年初来高値圏と言っていい水準にある。

   ただ、材料となった11月の既存店売上高は、前年同月比プラスではあるが、その幅は0.7%に過ぎない。8、9、10月がそれぞれ1.8%、2.2%、1.4%のプラスであることを踏まえればさほど良くはない。また、11月の客数は前年同月比1.9%増えているものの、客単価は1.2%下落。客単価のマイナスは2カ月連続で、その幅は10月(0.9%減)から広がっている。

   11月は上旬にTBS系列テレビ番組「ゲンバビト」で主力のガストが改革者として好意的に紹介されるという追い風があったことをも含めて考えれば、足元の業績を楽観的に見ることは難しいとも言えよう。

12月末は「株主優待」がもらえるタイミング

   直近の業績を見ても良いわけではない。11月14日に発表された2018年1~9月期連結決算(国際会計基準)は、売上高こそ前年同期比2.1%増の2759億円だったが、営業利益は18.4%減の188億円、純利益は26.3%減の95億円にとどまった。また、すかいらーくHDは同日、2018年12月期通期の業績予想を下方修正し、純利益は前期比19.6%減の125億円になる見通しだと発表した。

   従来予想(172億円)から47億円もの下方修正で、増益見通しから一転して減益の見通し。修正の理由として、北海道の地震や大型台風など自然災害の影響、人件費の上昇などを挙げている。野村証券は、丸亀製麺などのトリドールホールディングスや、カフェチェーンなどのサンマルクホールディングスも業績予想を下方修正したことを踏まえて「外食業界をとりまく環境の厳しさを再確認する結果となった」と指摘した。

   それでも相対的には安定した利益を生み出す内需株は投資家の物色対象になりやすく、わずかな好材料でも買いが買いを呼ぶ。おかげですかいらーくHDの株価は今年、右肩上がりと言える状況だ。

   また、6月末と12月末に株を保有していれば株主優待が得られることも個人投資家の根強い人気を呼んでいる。すかいらーくHDの優待は飲食代割引カードで、店舗ブランド、店舗数とも多いので特に人気が高い。保有株数に応じて割引金額が上がることも保有者にはうれしいメリット。すかいらーくHDにとっては株主優待引当のコストが業績の重しというから悩ましいものだが、株価を上げる要因にはなっている。