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まぶたが突然開かなくなる...! 患者訴える「眼球使用困難症」の苦しみ、厚労省も認識

   まぶたが垂れ下がったり、けいれんしたりする病気に、眼瞼(けん)下垂や眼瞼けいれんがある。

   それが重度化すると、まぶたが開けられず、日常生活を送るのさえ困難になる。そんな症状を「眼球使用困難症」と眼科医が近年名付けた。患者の1人が国の障害認定をツイッターで求めて、反響を呼んでいる。

  • 漫画で苦境を訴えて大反響呼ぶ
    漫画で苦境を訴えて大反響呼ぶ
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まぶたが開かない...元タレントがその苦境を訴え

   「歩いているのにどうしよう...」。ツイッターに投稿されたイラスト漫画では、若い女性が外出中、突然まぶたが閉じて開かなくなり、困惑の表情を浮かべる。どんな光も眩しくなり、部屋を暗くして閉じこもるしかなくなってしまう。

   周りからは、「眠いの?」と誤解も受ける。まぶたに薬を注射すると症状が和らぐが、費用負担が大変だ。障害年金があれば助かるが、視力には問題がないため、国に身体障害者と認めてもらえない。

   症状が重いため、国に抗議したりSNSで訴えたりする活動も十分にできない。漫画の女性は、まずは「眼球使用困難症」の存在を広く知ってほしいと訴えている。

   漫画を描いたのは、自らも困難症だという元タレントで現在は文化人のマネージャーをしているマリーナさんだ。

   この2018年12月18日の投稿は、広く共感を集めて、21日夕現在で5万件ほどもリツイートされている。同様な症状を訴える人も次々に出て、マリーナさんにリプライを送っていた。

   マリーナさん自身は、1年半前から眼瞼けいれんを患っているといい、注射のおかげで外出もできるようになった。しかし、保険が使えても、診療費を含め1回1万8000円かかってしまう。注射が効かなくなれば、部屋に引きこもらざるを得ないと不安を訴えている。病気は、精神科でもらった薬の副作用だという。

眼科医が提唱、「明確な視覚障害者」

   眼球使用困難症という呼称は、井上眼科病院(東京都千代田区)の若倉雅登(まさと)名誉院長が提唱した。

   読売新聞のサイト「ヨミドクター」の2017年2月9日付コラムでは、眼球は正常なのに、まぶしさで目を開けられない重度の症状をそう呼ぶことにしたと説明している。こうした日常生活を送るのも困難な人は、明確な視覚障害者だと若倉院長は言う。

   そして、この症状に理解を深めてもらうため、同年9月ごろに「眼球使用困難症と闘う友の会」を結成した。友の会窓口のNPO法人「目と心の健康相談室」によると、18年12月21日現在で、患者ら約80人が会員になっている。

   さらに、国への働きかけなどのため、そこから派生した「みんなで勝ちとる眼球困難フロンティアの会」も立ち上がり、マリーナさんもそこで活動している。

   身体障害の認定基準については、厚労省のホームページで、眼瞼下垂で両目が開けない場合に対し、「眼瞼下垂をもって視覚障害と認定することは適当ではない」と回答している。

   厚労省の企画課は21日、J-CASTニュースの取材に対し、マリーナさんのような眼瞼けいれんも同様だとした。障害認定しない理由については、「視力や視野の機能で認定しており、それに異常が見られないため」だとしている。

   ただ、眼球使用困難症については、医療関係者から事情を聞いており、今後の課題だと認めた。「実態を把握するための研究を行っており、現在はその調査結果を待っているところです」と話している。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)